複素数の役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 22:54 UTC 版)
代数的な観点から、複素数は極めて自然に代数関数の研究に入ってくる。まず、代数学の基本定理によって、複素数全体は代数閉体である。したがって多項式関係 p(y, x) = 0 は、y が複素数値を取ってよいとして、各点 x において y について少なくとも 1 つの解(そして一般に x についての p の次数を超えない個数の解)を持つことを保証される。したがって、代数関数の領域を処理する問題は安全に最小化することができる。 さらに、最終的には実の代数関数に興味があったとしても、複素数に頼らずに和、積、商、n 乗根を取ることによって関数を表す手段は存在しないかもしれない(casus irreducibilis 参照)。例えば、方程式 に対して、平方根は実でありしたがって立方根は唯一の実根として問題なく定義される。一方、 に対しては、平方根は実でなく、実でない平方根のいずれかを選ばなければならない。そして立方根は 3 つの非実数の中から選ばなければならない。公式の 2 つの項において同じ選択がされれば、3 乗根の 3 つの選択は添付の画像のように 3 つの分枝を与える。 結果の関数は書かれているグラフの領域上実数値であるにもかかわらず実数のみを用いて n 乗根のことばで表すことは決してできないことを示すことができる。 より重要な理論的なレベルでは、複素数を用いることで複素解析の強力なテクニックを用いて代数関数を議論することができる。とくに、偏角の原理を用いて、任意の代数関数は実は少なくとも多価関数の意味で解析関数であることを示すことができる。 フォーマルに、p(x, y) を複素変数 x と y の複素多項式とする。x0 ∈ C は y の多項式 p(x0, y) が n 個の相異なる零点を持つようなものとする。代数関数が x0 のある近傍で解析的であることを示そう。これらの零点のそれぞれを含む n 個の重ならない円板 Δi たちをとる。すると偏角の原理によって これは解析関数である。
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