製材屋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/20 20:13 UTC 版)
北原貞蔵『暮らしとことば』「製材屋」より一部抜粋(出典:)。 共通語訳 今日は前々からお願いをしておきました移動製材屋さんがお仕事に来てくださると言うので、お父さんは朝早くから軒下に積んであった莚やねこを納屋の方に運んだりして忙しいようだ。 近日中に大工さんが来られて調理場やトイレの改修をして下さるようにお願いしてありますので今日はその製材やさんが来られて挽いてくださるそうです。 そんなことでお父さんは、あちらこちらと片付けていた。今度は電柱柱よりも大きな丸太を鳶で動かしながら囲炉裏ばたから炭を持ってきてこれは柱だとかこれは板にと記号をはじめた。 やはりぶっつけ本番よりもしるしをしておいて製材やさんに見ていただいた方がよくはないかとお母さんと打ち合わせをしながら、この間大工さんに書いていただいた見積もりの表を見ながら記号をしていった。 一本一本ですので大変のようだ。 (中略) お父さんがお前たちそんなことをしていないで早く食べなさいと言って叱った。 お母さんが弟のご飯をこぼしたのを見まして、まあこんなにご飯をこぼしてみんな拾って食べなさいよ、みんな拾って食べないとお目目が潰れますよと言って食べさせた。 朝ご飯が済んでしばらくしたらおじさん達が五人もお早うございますといってお家の中へ入ってきた。 製材やの方たちだ。 お母さんは挨拶をかわしながらお茶を差し上げた。 著者は駒ヶ根市中沢、2004年出版 今日移動製材屋さがくるちゅーもんで あさっぱらからとーちゃわ軒下えしめーこんでおいた莚やねこを納屋の方え運びはねーた。 ちけーうちにでーくさがきて流し場とうえちょーずばをそそくって貰う ちゅーもんではーるか積んでおいたでっけー丸太を製材屋さが来て挽いてくれるっちゅーこんだ。 そいだもんで けさは片付けが終わったら こんだー でんきん柱よりかでっけー丸太を鳶であらしてわけーずみでこいつぁはしらだとかこいつわ板だとかしるしをしはねーた。 やっぱりてんずけよりか めーからけーておいたほうがいいずらとかーちゃとはなしながら こねーだでーくさにけーてむらった紙を見ちゃ印を付けちゃおる。 なかなかひとんずつだもんであだじゃねーなえ。 (中略) とーちゃがこら喧嘩なんかしなんでわりゃたちゃ はよーまんまを食べんかと言って叱った。 かーちゃが弟がまんまをこぼしたもんでまーこんねんまんまをこぼしてひろって食べないって拾わせた。粗末にするとめーめが潰れるよと言った。 朝飯がすんだころおいさま達が五人もお早うございますといってへーってきた。 製材やのおいさまたちだ。そいだもんでうちんなかがどいれーにぎやかになった。 かーちゃがありがとうございますといって挨拶してお茶を出した。
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