裁量労働制の違法利用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 02:03 UTC 版)
「サービス残業」の記事における「裁量労働制の違法利用」の解説
正規の手続きなしに使用者側が一方的に裁量労働制を導入したと称して運用する違法な例がある。裁量労働制を導入するための手続きとして、労使の合意(専門業務型では労使協定の締結・企画業務型では労使委員会の決議)と労働基準監督署への届け出とが必要である。また、「裁量労働制のもとでは残業という概念自体が存在しない」との誤った解釈に基づいて一切の手当てを支払わない違法な例がある。現行の裁量労働制はみなし労働時間制の一種であるため、給与算定のために勤務時間管理を行う必要は基本的にはないが、深夜・法定休日勤務手当ては支給しなければ違法となる。また、みなし労働時間が法定労働時間(8時間)を超過する場合には、労使であらかじめ36協定(残業に関する協定)を締結して労働基準監督署に届け出るとともに、超過分の時間外労働手当(たとえばみなし労働時間が9時間であれば1時間分)を支給しなければ違法となるが、裁量労働制を採用している大部分の企業は、みなし残業超過分の労働手当を適正に払わず固定給で青天井のサービス残業をさせている。 法律条文に明確に列挙されている職種以外にも使用者側の独自解釈の元に裁量労働制を適用する場合もあり、この場合も違法であるが、そのまま運用されていることがある。一例として、裁量労働制が適用できないプログラマをシステムエンジニア扱いにして裁量労働制を適用してしまうケースが挙げられる。
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