裁判官倫理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/09 02:46 UTC 版)
裁判官には、司法権の担い手として高度な公正性・中立性が求められる。しかし、日本においてそのような公正性・中立性の保持のための具体的な行為規範は定められておらず、詳細なOJTの仕組みが確立されているわけでもなく、専ら個々の裁判官の自己研鑽に委ねられているのが現状である。 裁判所法第49条は、裁判官に「品位を辱める行状」があったことを裁判官の懲戒事由としており、裁判官が一定の品位保持義務を負うことを前提としていると解される。「品位を辱める行状」とは、職務の内外を問わず、裁判官として国民の信頼を失墜するような醜行を演じたり、裁判の公正を疑わせるような行動をすることをいい、世人の裁判官に対する信頼、ひいては裁判制度そのものに対する信頼の念を危うくするかどうかにより決すべきであるとされている。 具体的な事例としては、裁判官が特定の刑事事件について弁護活動のような振る舞いをしたことが品位保持義務に反するとされたものがあり(最高裁大法廷平成13年3月30日決定、集民201号737頁、判例時報1760号68頁)、例えば民事事件においても一方当事者に肩入れして代理人のような振る舞いをすれば同様に品位保持義務違反に問われる可能性がある。
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