英国の新聞とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > 百科事典 > 英国の新聞の意味・解説 

イギリスの新聞一覧

(英国の新聞 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/23 18:21 UTC 版)

イギリスの新聞一覧は、イギリスで発行される新聞の一覧である。

概説

イギリスは階級社会であり、新聞も高級紙と大衆紙に分かれている。高級紙とは上流階級・知的階層向けの真面目な新聞である。クオリティ・ペーパーと呼ばれ、権威がある。大衆紙とは中流階級・労働者階級向けの娯楽新聞である。興味本位のゴシップセンセーショナリズムお色気で悪名を轟かせている[1]

高級紙の発行部数は大衆紙と比べると少ない。大衆紙で最も売れている「サン」は120万部。高級紙で最も売れている「タイムズ」は36万部にすぎない[2]

高級紙は大判の新聞紙を使用しているので、ブロードシートと呼ばれる。また大衆紙は小型の新聞紙を使用しているので、タブロイドと呼ばれる。しかし最近、高級紙も携帯性を重視して小型化し、タブロイドを使用している事も多い。

日本と異なり戸別宅配制度はない為、駅の売店や小売店(エージェント)での販売が中心である。また再販売価格維持がない為、価格競争が起きることもある[2]。1990年代にはタイムズが口火を切って、安売り合戦が行われた[1]

歴史

イギリスは言論の自由や近代ジャーナリズムの成立に大きな役割を果たした新聞史上、重要な国である。

と言っても、16世紀から17世紀のヨーロッパでは新聞はドイツが盛んで、イギリスはそれほどでもなかった。例えば16世紀、ドイツではニュースを記述したビラやパンフレット形式の印刷物である「フルークブラット」が出版された。イギリスでも「リレーション」が出版されたが、フルークブラットと比べると数は少なかった。17世紀の定期刊行新聞でも、イギリス初の週刊新聞である「ウィークリー・ニューズ」(1622年)は、ドイツに10年以上の後れを取った。しかし、イギリスでは清教徒革命名誉革命を通じて、言論の自由が徐々に認められて行った。一方、大陸では専制君主の支配が強力だった。ドイツでは19世紀まで言論の自由は認められず、新聞は発展しなかった。

18世紀のイギリスには、いろいろな新聞を読み放題のコーヒーハウスが登場した。裕福な商工業者であるブルジョワジーが新聞を元に政治議論を行い、貴族のサロンと同じように論壇を形成した。1702年には、いち早くデイリー・クーラントが初の日刊新聞として登場した[3]。また、この頃、タイムズなど高級紙が創刊された[4]

19世紀になると大衆紙が登場した。大衆紙はアメリカのイエロージャーナリズムが有名だが、イギリスも大衆紙の源流の1つである。「廉価・大部数」の商業主義大衆紙はイギリスから始まった[5]

1896年アルフレッド・ハームズワースによって、デイリー・メールが創刊された。1903年にはデイリー・ミラーも創刊された。これらは写真など当時の最新技術を使って、ボーア戦争から国王エドワード7世の死に顔までを報道し部数を伸ばした。その後、ハームズワースはタイムズなども買収し、一族で新聞王国を築いた。彼らの他にもウィリアム・マクスウェル・エイトキンやロイ・トムソンなどの新聞王が誕生し爵位が贈られた(プレス・バロン)。

1930年代、大衆紙の販売競争は最高潮を迎える。デイリー・ヘラルド(現在のサン)は豪華景品を餌に拡販を始めた。この戦略は経営を圧迫し、デイリー・ヘラルドは倒産。デイリー・ミラーに買収された[5]

第二次世界大戦後もデイリー・ミラーの時代が続いた。戦後初の総選挙では、デイリー・ミラーが押すクレメント・アトリーウィンストン・チャーチルに勝利。1964年、デイリー・ミラーは500万部を突破し黄金期を迎えた。一方でイギリスはイギリス病と呼ばれる不景気に苦しんだ。

1970年代になると新たな新聞王ルパート・マードックが登場する。当時、タイムズやオブザーバーなどイギリスの新聞は、労使紛争の激化で経営難に陥っていた[1]。マードックはサンやタイムズなどを次々と買収し、ニューズ・コープの傘下に収めた。右派のサンはフォークランド紛争で主戦論を展開し、左派反戦のデイリー・ミラーを追い落とした。

経営不振に陥ったデイリー・ミラーを買収したのがロバート・マクスウェルである。1980年代、マードックのサンとマクスウェルのデイリー・ミラーは死闘を繰り広げた。この戦いはマードックが勝利し、マクスウェルは怪死を遂げた[2]

ライバルを倒したマードックは1990年代、多国籍なメディア・コングロマリットの形成に邁進した。

高級紙(Quality paper)

タブロイド(Tabloid newspaper)

中級紙("Middle-market" tabloid newspaper)

大衆紙(Popular paper)

地方紙

その他

脚注

  1. ^ a b c 『マス・コミュニケーション概論』ISBN 978-4313410527
  2. ^ a b c 山本浩『仁義なき英国タブロイド伝説』 ISBN 978-4106100970
  3. ^ Anna M Pagan. “What's The News; The Age Of Addison”. Ourcivilisation.com. 2017年7月30日閲覧。
  4. ^ 吉見俊哉『メディア文化論』ISBN 978-4641121904
  5. ^ a b 前澤猛『新聞の病理』ISBN 978-4000233538

関連事項


「英国の新聞」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「英国の新聞」の関連用語

英国の新聞のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



英国の新聞のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのイギリスの新聞一覧 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2025 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2025 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2025 GRAS Group, Inc.RSS