色彩と場
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/03 18:00 UTC 版)
「カラーフィールド・ペインティング」の記事における「色彩と場」の解説
グリーンバーグの説明する「場」とは、部分や要素の集合ではなく全体性や構造こそ重要視されるべきとしたゲシュタルト心理学を応用したものである。カラーフィールド・ペインティングで作られる絵画平面では、色面に中心や焦点がなく、「地」と「図」(柄と背景)の区別もなく、厚みもなく平面的で、どこをとっても均質で、画面を越えて色面がどこまでも続いているように見える、「オールオーバー」といわれる画面作りがされている。ここでは、絵画はのぞき窓ではなく、絵具を乗せた単なる平面だと認識された。そのため、画面の中に三次元の奥行きや世界があるように錯覚させる陰影や透視法などヨーロッパ絵画の伝統的な「イリュージョン」は否定されている。また花や人物、幾何学的図形といった主役となる中心(ヒエラルキー)は「地」と「図」の区別をつくってしまうためこれも否定されている。色彩はこうした陰影や物を描くために従属的に使われるのではなく、平面自体が主役となるような場を作るために使われている。 クレメント・グリーンバーグは、これら色彩や輪郭線の区別のあいまいな絵画作品を、1964年に自ら企画した展覧会名にちなみ「ポスト・ペインタリー・アブストラクション」(「絵画的抽象以降の抽象」、「地」に何か「図」が描いてある絵画的な状態を克服して、平面的で一切のイリュージョンを廃した抽象画)と呼んだが、最初にニューマンを評した際に使ったカラーフィールド・ペインティングが定着した。
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