羊太夫景教徒説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/28 13:56 UTC 版)
久保有政は、松浦静山がその著書の中で、多胡碑のかたわらの石槨に「JNRI」という文字が見られ、また碑の下からは十字架も発見されたと書き記していることを挙げ、羊太夫とネストリウス派キリスト教との関連性を指摘する。 「JNRI」は、ラテン語のJesus Nazarenus, Rex Iudaeorumの頭文字をとった略語であって、"ユダヤ人の王ナザレのイエス"を意味し、十字架刑に処せられたイエス・キリストの頭上にかかげられた言葉であるとされ、「INRI」(この場合、Iesusの頭文字である。)とも記されることがある。久保は、これについて東方キリスト教の残滓が日本まで到達したことを示すものであろうとしている。 また「INRI」について、ヘブライ語は筆記においては母音が省略され子音のみ表記されるため、「INaRI」と母音を補い、稲荷信仰との関連も指摘されている。しかし、この説の根拠となる遺物に関しては、江戸時代にキリスト教信者によって捏造された可能性が否定できない他、語呂合わせ的な主張でもあり、説を補強する確かな遺物でも発見されない限り、この説を取ることは困難である。
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