結論と応用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/11/15 20:00 UTC 版)
写像 ϕ ( t ) = Q ( t ) e t R {\displaystyle \phi \,(t)=Q(t)e^{tR}} は時間依存の座標変換( y = Q − 1 ( t ) x {\displaystyle y=Q^{-1}(t)x} )を導き、その変換の下で元の方程式系は実定数を係数とする線型系 y ˙ = R y {\displaystyle {\dot {y}}=Ry} になる。 Q ( t ) {\displaystyle Q(t)} は連続かつ周期的であるため、有界である。したがって y ( t ) {\displaystyle y(t)} および x ( t ) {\displaystyle x(t)} に対するゼロ解の安定性は R {\displaystyle R} の固有値によって決定される。 表現 ϕ ( t ) = P ( t ) e t B {\displaystyle \phi \,(t)=P(t)e^{tB}} は、基本行列 ϕ ( t ) {\displaystyle \phi \,(t)} に対する「フロケ正規形(Floquet normal form)」と呼ばれる。 e T B {\displaystyle e^{TB}} の固有値は、その方程式系の特性乗数と呼ばれる。それらはまた(線型の)ポアンカレ写像 x ( t ) → x ( t + T ) {\displaystyle x(t)\to x(t+T)} の固有値でもある。フロケ指数(Floquet exponent、しばしば特性指数とも呼ばれる)とは、 e μ T {\displaystyle e^{\mu T}} がその方程式系の特性乗数となるような複素数 μ {\displaystyle \mu } のことを言う。ここで、整数 k {\displaystyle k} に対して e ( μ + 2 π i k T ) T = e μ T {\displaystyle e^{(\mu +{\frac {2\pi ik}{T}})T}=e^{\mu T}} が成立することより、フロケ指数は一意的ではないことに注意されたい。フロケ指数の実部は、リアプノフ指数(Lyapunov exponents)と呼ばれる。すべてのリアプノフ指数が負であればゼロ解は漸近安定となり、非正であればリアプノフ安定となり、それ以外の場合では不安定となる。 フロケ理論は力学系の研究において非常に重要となる。 フロケ理論は、周期的な重力場における調和振動子として月の運動を近似するヒルの方程式(ジョージ・ウィリアム・ヒルによって考えられた)において、安定性を示すものである。 強レーザー場におけるボンドソフト化(英語版)およびボンドハード化(英語版)は、フロケの定理により得られる解によって表現される。
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