結核予防
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 06:24 UTC 版)
弱毒生菌ワクチン(生ワクチン)には、他のタイプのワクチン(死菌ワクチンや成分ワクチン)とは異なり、 弱毒性の微生物が体内に定着しうる ウイルスや細胞内寄生体が実際に細胞内に感染を起こしうる という特徴がある。このため、 効果が半永久的に持続する 死菌ワクチンでは誘導できない細胞性免疫(マクロファージや細胞傷害性T細胞などによる免疫。細胞内感染の排除に必要)が誘導可能である、という利点がある。結核菌は細胞内寄生体であり、特に活性化マクロファージによる細胞性免疫が感染防御に重要であることから、死菌ワクチンや成分ワクチンでは十分な免疫が得られないため、弱毒生菌ワクチンが必要である。 使用菌株の差違、凍結乾燥に対する耐性の差は、最終的に獲得する免疫能の差となって現れる。なお、日本株は耐高温多湿環境能力に優れている。 ワクチンによる感染防止効果は接種から約10年から15年程度で減弱するが、このメモリーT細胞による免疫記憶が薄れてしまった状態から、追加免疫を記憶させるためにブーストワクチンを開発する研究が行われている。 Ladefoged, A.(1976) によるBCG菌株強さの順位.(動物実験ウイルレンス・小児ツベルクリン感作)菌株平均スコアモロー株(ブラジル) 4.8 フランス株(1173P 2) 4.3 デンマーク株(1331) 4.0 ソ連株 4.0 スエーデン株 3.8 マドラス株(旧)(インド) 3.5 日本株(Tokyo172) 3.0 グラクソー株 2.0 プラーグ株 1.0 ※橋本達一郎,「BCG接種の現状と問題点」より引用し改変。
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