組換えDNAを含む生物の性質
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 21:32 UTC 版)
「組換えDNA」の記事における「組換えDNAを含む生物の性質」の解説
多くの場合、組換えDNAを含む生物は見かけ上正常な表現型を示す。すなわち、その外見、行動、代謝には通常変化がみられない。組換え配列の存在を示す唯一の方法はDNA自身の調査であり、一般的にはPCR検査が行われる。重要な例外も存在し、後述する。 組換えDNA配列から遺伝子の発現が行われている場合、組換え遺伝子のRNAまたはタンパク質産物から組換え配列の存在を検出することもできる。一般的にはRT-PCRやウェスタンブロッティングが行われる。宿主生物で生物学的活性が生じるような組換え遺伝子の選択と修正が行われていない場合には、表現型変化の観察は標準的手法ではない。組換え遺伝子産物によって宿主生物に毒性がもたらされることで付加的な表現型が生じることがあり、特に過剰発現が行われている場合や、不適当な細胞や組織で発現が行われている場合に生じやすい。 組換えDNAは発現していない場合でも宿主生物に有害な影響を与えることがある。1つの機構としては挿入(英語版)による不活性化があり、組換えDNAが宿主細胞の遺伝子へ挿入された場合に生じる。この現象は、遺伝子を「ノックアウト」してその生物学的機能や重要性を明らかにするためにも利用される。他の機構としては、染色体への組換えDNAの挿入によって、宿主細胞でこれまで発現していなかった遺伝子が不適切な形で活性化される場合がある。例えば、組換えDNA断片に活性の高いプロモーターが存在し、それによって隣接する抑制されていた遺伝子が活性化されてしまう場合や、遺伝子発現の抑制機能を持つ宿主細胞の遺伝子が組換えDNAによる挿入不活性化を受ける場合がある。
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