細胞周期内でのタイミング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 20:29 UTC 版)
「相同組換え」の記事における「細胞周期内でのタイミング」の解説
二本鎖切断は、相同組換えまたは非相同末端結合(NHEJ)によって修復される。NHEJは相同組換えとは異なり、修復のガイドとなる長い相同配列を必要としない修復機構である。相同組換えとNHEJのどちらが利用されるかは、細胞周期の段階によって主に決定される。相同組換えは細胞が有糸分裂(M期)に入る前にDNAを修復し、姉妹染色分体が容易に利用可能な、DNA複製の直後のS期とG2期に行われる。類似しているが異なるアレルを持つことの多い相同染色体と比較して、特定の染色体の同一コピーである姉妹染色分体は相同組換えの理想的な鋳型となる。相同組換えとは対照的にNHEJは細胞周期のG1期が主であるが、少なくとも一部の活性は細胞周期を通じて維持されている。細胞周期を通じて相同組換えとNHEJを調節する機構は種によって大きく異なる。 サイクリン依存性キナーゼ(CDK)はリン酸基を付加(リン酸化)することで他のタンパク質の活性を調節するタンパク質で、真核生物における相同組換えの重要な調節因子である。出芽酵母では、DNA複製が開始された際にサイクリン依存性キナーゼCdc28はSae2タンパク質をリン酸化することで相同組換えを開始する。リン酸化によって活性化されると、Sae2はエンドヌクレアーゼ活性を利用してDNAを二本鎖切断の近傍で切断し、その後の活性の効率的な基質となる末端部を作り出す。そしてMRX複合体(英語版)と呼ばれるタンパク質三者複合体がDNAへ結合し、2つのDNA分子の間で物質を交換する一連の反応が開始される。
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