素人連とは? わかりやすく解説

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天狗連

(素人連 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/30 02:42 UTC 版)

天狗連(てんぐれん)とは、アマチュア芸人達のことをいう。素人連(しろうとれん)ともいう。趣味が嵩じて自らも舞台に上がるようになった素人衆をさす。特に、素人同士でグループを結成した場合、そのグループを指す。

概説

「天狗連」の名称の由来は、天狗のように鼻が高くなるように自慢するさまを「鼻が高い」ということから、転じて素人の芸達者が自身の芸を自慢する様子を自ら「天狗連」と名乗るようになったという[1]

以下は、話芸における天狗連を中心にした解説である[2]

本業は職人や若旦那から会社員まで様々である。客がつくと、アマチュアながら貸席などを借り切って自主興行を行うこともある。さらに熱心になると本業を辞めてプロフェッショナルな専業の芸人に転業する者もいる。天狗連出身の芸人は意外と多く、以下のような名人たちも散見される。

演者の側から見た場合の天狗連の本質は道楽にあり、生業にしたり高額の報酬を得ることが目標ではないとされ、それを大きく逸脱するとプロの側から激しく批判されることが多い。アマチュアとして活動している中にも、落語の実演が上手い者、熱意を持つ者、観客を楽しませることができる者は少なからず存在する。

プロの落語家になることができない事情があったり、また以下のような目的を持ち、話芸としてはアマチュアとして演芸を続けている者も多い。その場合、通常のプロの落語家とは別の枠組みにいることを示すために、肩書きを「落語家」とは異なる類似の名称にしている場合も多い[3]

  • 病院や老人ホームなどの慰問
  • 犯罪防止などの社会貢献
  • 各種産業(金融・工業など)や教育など、プロの芸人が積極的に手掛けづらいジャンルに特化した噺やワークショップ運営に携わる

自分たちが演じるのとは別に、人脈などを活かしてプロの落語家を招く地域寄席を主催している者も多い。

学校の落語研究会なども、天狗連の一形態とみることもできる。

また、上記とは別に、プロの落語家である金原亭世之介が、日出郎松井悠渡辺裕太など、有名人に落語を指導する際、彼らが落語を演じる時の芸名に亭号として「天狗連」を使用して与えている。

主な著名な天狗連出身の芸人

江戸落語(東京)

上方落語

天狗連主催の主な社会人落語会

アマチュア落語の大会・選手権

学生対象のものは落語研究会(サークル活動)を参照。

  • 全日本社会人落語選手権(東京都)主催:全日本社会人落語協会。2022年時点で49回開催。
  • 社会人落語選手権 大阪本選(大阪府)主催:上方社会人落語連盟。2022年時点で28回開催。
  • 社会人落語日本一決定戦(大阪府池田市)主催:池田市。2009年~。審査委員長桂文枝(6代目)。参加資格は学生を除いた社会人で、落語に関してアマチュアであること。過去の優勝者は出場不可。洋服での実演・参加が可能。審査員は上方落語家中心。
  • 新人お笑い尼崎大賞(兵庫県尼崎市)主催:公益財団法人尼崎市文化振興財団。落語の部は2012年~。年齢・性別・国籍不問。.プロ・アマ共に参加可能。審査員はプロ落語家。アマチュアは芸歴不問、プロは芸歴制限有。
  • 国際落語大会 IN 千葉 主催:NPO法人フォーエヴァー。参加資格は18歳以上でアマチュアの一般人・学生。外国人枠(日本語で演じる)があるのが特徴。
  • ちりとてちん杯全国女性落語大会(福井県小浜市) 女性落語家が主人公のNHKドラマ「ちりとてちん」をきっかけに2007年にスタート。出場者は女性限定。日本語を話すことができれば年齢・国籍・経歴(プロアマ)不問。和服での出場前提(貸出有)。過去の優勝者は出場不可。審査員は東西の男女落語家。運営の中心となっている「若狭小浜ちりとて落語の会」は、第45回サントリー地域文化賞を受賞[4]
  • SAM-1グランプリ 社会人選抜落語特選会(東京都杉並区)阿佐ヶ谷あにめ座寄席実行委員会主催。「SAM」は「杉並阿佐ヶ谷・街おこし」の略。大ネタ、羽織着用、出囃子などの制限無し。出場は先着順、予選無し。一部の落語はラジオNIKKEI寄席あぷり」でダイジェストで紹介された。
  • 全日本シニア社会人落語会(東京都文京区) 主催:NPO法人シニア大樂。特に年齢や資格制限は設けていないが、2020年大会の参加者の平均年齢は75.5歳。
  • 伊勢原素人落語大会(神奈川県伊勢原市) 主催:伊勢原素人落語大会実行委員会。2021年~。参加資格は素人であること、年齢制限無し。演目を「古典落語に限る(とりわけ江戸落語)」としている。審査員は地元出身の東京の落語家。
  • 藤沢宿・全日本素人落語フェスティバル(神奈川県藤沢市) ‐ 主催:藤沢宿・全日本素人落語フェスティバル実行委員会。2021年~。後援に落語芸術協会。審査員に桂歌若ほか。参加資格は素人落語家。年齢・性別・国籍を問わず、演目も古典・新作、自作・創作問わない。
  • 目黒区民まつり 新作落語コンテスト(東京都目黒区)- 主催:目黒区。2021年に「目黒のさんま祭25周年記念」として新作落語を公募したのがスタート。以降、2022年は地名、2023年は坂、と「目黒」にちなんだ新作落語を募集。アマチュア自作自演の新作落語が対象。審査員に目黒区出身の春風亭柳枝(9代目)三遊亭れん生
  • 全国落語大学(北海道函館市)- 地元で落語家活動をする東家夢助が全国からアマチュア落語家・講談師を集めてテーオーデパートで年1回開催。2018年に夢助が亡くなった後も弟子などにより開催は続いていたが、コロナ禍で開催が途切れてデパートも2023年8月に閉店した後、同年11月の第30回で終了[5]

関連項目

脚注

  1. ^ 本田久作『からぬけ落語用語事典』パイ インターナショナル、2018年9月19日、197頁。ISBN 9784756249982 
  2. ^ 他のジャンルでは、例えば高円寺阿波踊りに「天狗連」というサークルが存在する。
  3. ^ 「落語教育家」「ベンチャー落語家」など。また「怪談師」なども師弟関係を持たずに落語家的な話芸で収入を得ているということで、同じ枠組みで考えることも可能である。
  4. ^ サントリーホールディングス (2023年9月13日). “第45回「サントリー地域文化賞」決定”. PR TIMES. 2023年9月14日閲覧。
  5. ^ 落語大学 最後の笑い 30年の軌跡たどる 11、12日函館」『北海道新聞』、2023年11月7日。



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