かんいかぜい‐せいど〔カンイクワゼイ‐〕【簡易課税制度】
簡易課税制度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/31 23:36 UTC 版)
簡易課税制度は、課税売上高の一定割合を仕入れとみなして、事業者の事務処理上の煩雑さを除去することにより、納税事務負担を軽減するために設けられた制度である。免税点制度と同じく、小規模事業者の納税事務負担に配慮して設けられた制度であるが、「みなし仕入率」が高すぎることに対する批判が強い。2004年度から課税売上高(税抜き、輸出免税売上を含む。基準年度=課税期間の前々年度の実績で判定)の上限が2億円以下→5000万円以下と引き下げられた。 売上高に、業種に応じたみなし仕入率を乗じて、簡易に税額を算出するもの。適用上限となる売上高は、5,000万円。通常納付する消費税額は、売上に係る消費税額から課税仕入に係る消費税額を控除して計算するが、基準期間における課税売上高が5000万円以下である事業者は、「みなし仕入率」を用いて仕入税額を計算することができる。そのため、みなし仕入率による仕入税額と実際の仕入税額との差額が発生する場合に、自らの利益(損失)となる。 ドイツ等においても簡易課税制度は存在し、みなし仕入率は損税が発生するように設定されている。簡易課税制度においては、帳簿等の保存が軽減されており、この浮いた経費と損税が相殺されるように調整されている。 日本のみなし仕入率 90% - 第1種事業:卸売業 80% - 第2種事業:小売業、農林水産業(食用) 70% - 第3種事業:農林水産業(食用以外)、鉱工業、建設業、水道光熱業、製造業 60% - 第4種事業:飲食店業、その他 50% - 第5種事業:金融及び保険業、運輸・通信業、サービス業 40% - 第6種事業:不動産業 ※複数の種類の事業を営む場合は、原則として、事業の種類ごとに課税売上高を分類して計算することになる。(この観点では、簡易課税事業者の一部は、既に複数税率を経験していたことになる。)ただし、1種類の課税売上高が課税売上総額が75%以上の場合は、有利選択として最も高い「みなし仕入率」を適用することができる。それ以外の場合で、2種類の課税売上高が75%以上の場合は、有利選択として、その2種類の「みなし仕入率」を適用することができる。 非課税取引については消費税を課さないこととされており、また仕入税額(仮払消費税)のうち非課税売上に対応する部分については控除対象とならない。ただし、課税期間における課税売上高が5億円以下かつ課税売上割合が95%以上である事業者は、仕入税額を全額控除することができる。そのため、要件を満たす事業者が要件を満たさない事業者と同水準の価格を設定した場合、要件を満たす事業者は仕入税額相当額を自らの利益とすることができる。 なお、2012年度から課税売上高の制限(5億円以下)が設けられた。
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