築地塀と門
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/02 22:55 UTC 版)
611:築地塀と土門(春日権現験記絵) 612:四足門(法隆寺東院伽藍四脚門) 614:唐門(法隆寺北室院唐門) 615:上土門(法隆寺西園院上土門) 画像611は屋敷を取り囲む築地塀(ついじべい)である。律令制では築地塀を築けたのは五位以上の貴族に限られる。正門は通常は屋敷の東西のどちらかに開くが、屋敷が方一町(120m四方)の場合は正門の反対側にも門を開く。南に門があることは少ないが、有ることもある。西に正門を開く屋敷を西礼の家と呼ぶが、その西礼の家であれば正門側の大路、または小路に二つ門を開くことも多い(画像a24)。その場合はその面の南側が正門であり、それを南門と呼ぶことがある。なお大路に正門を開けるのは公卿以上である。 最も格が高いものは画像612の四足門(よつあしもん)で、四脚門(しきゃくもん)とも書く。『海人藻芥』によると公卿の中でも大臣と親王は四足門を持てるが「名家以下月卿雲客の亭の事、四足(門)これあるべからず」(本文は漢文)、と大臣・親王以外には許されていない。棟門(むねもん)は四足門に次いで格が高い。屋根の形は四足門と同じで、違うのはそれを支える構造である。棟門は築地塀が前後左右の揺れを防ぐが(画像613)、四足門は更に4本の添え柱で支える。次が画像614の唐門(からもん)で公卿クラスでも正門に使うことが多い。当時の唐門は現在は「平唐門」(ひらからもん)に分類され「向い唐門」(むかいからもん)が格の高い門と見なされるようになったのはずっと後の時代である。絵巻では諸大夫の屋敷の門には画像615のような門がよく描かれる。上土門(あげつちもん)という。筑地塀に開かれる門で一番格がひくいのは画像611に描かれている土門(つちもん)である。
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