算木の使用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 14:34 UTC 版)
算木は長さ 3 - 14cm の木製または竹製の細長い直方体で、縦または横に並べて数を表し、配列を動かすことで四則演算、開平、開立などの計算をした。1から5まではその数だけ算木を並べ、6以上は異なる向きの1本で5を表した。 アラビア数字のように左を上位として横に並べることで数を示す。隣の桁と間違えないよう、桁によって算木の向きを変え、縦式によって奇数桁(一・百・万……の位)を、横式によって偶数桁(十・千……の位)を示した。孫子算経には「一は縦、十は横、百は立ち、千は倒れる」とある。 日本では算盤(さんばん)と呼ばれる格子を書いた布の上で算木を使用した。はじめは中国と同じく縦式横式のしくみを用いていたが、江戸後期になると算木を使って計算する時に横式を用いず、一位十位百位など位にかかわらず縦式のみを扱う者が多くなった(算盤の格子によって桁がわかるために、縦横の区別がいらなかったため)。ただし、紙の上では格子はなく続けざまに算木を書くので従来どおり縦式横式で書き続けた。 算木は2色に着色され、赤の算木は正の数を、黒の算木は負の数を表した。0 はその場所に算木を置かず空けておくことで示し、後に碁石を置いて明示するようになった。九章算術には、「(引き算の時)同符号は引き、異符号は加える。正を無入から引いて負とし、負を無入から引いて正とする」とある。この「無入」とは「0」のことである。これから、0と正負の計算を理解していたことが分かる。 算木を利用する事で、有理数の四則演算ができ、また高次の方程式の解を考察する事が可能である。分数の約分を互除法で求める事にも使われる。 正の数 0123456789縦式 横式 負の数 0-1-2-3-4-5-6-7-8-9縦式 横式 例: 231 5089 -407 -6720
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