算木とそろばん
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/04 14:41 UTC 版)
算木を用いた数の表記 和算で用いられる道具として算木とそろばんが挙げられる。いずれも『算法統宗』に使用法が紹介されている。また、『塵劫記』にはそろばんの使用法が絵入りで丁寧に解説されている。 そろばんは会計等広く用いられたのに対し、算木は専ら和算家によって、天元術(中国の代数方程式の理論)などの計算に用いられた。籌算(算木計算)では算盤(さんばん)と呼ばれる盤と数を表す算木を用いる。算盤では碁盤状に升目が敷かれた布や板であり、横の目が一、十、百、千、万といった桁数を表し、縦の目は商(答え)、実(定数項)、法 (x)、廉 (x2)、隅 (x3)、三乗 (x4)…と代数方程式の解および各係数を表し(ただし流派によっては廉以下を初廉(x2)、次廉(x3)、三廉(x4)…とし、隅を最大の次数とする)、各升目に置かれた算木を並べ替えることで代数方程式を解いていく。 この算木による計算によれば、理論上は一元方程式なら何次でも解けるものであるが、場所をとったり、計算途中に算木を一本でも崩したらすべて台無しになる、次数が大きくなるほど計算が煩雑になるなどして、扱いづらさがあった。よって、中・後期ごろには、算木の運用の煩わしさを嫌って、方程式をも算木ではなくそろばんで計算しようとする研究が盛んになった。著しいものは川井久徳の著書『開式新法』がある。彼は、従来それぞれ独立していた各次数の方程式のそろばん解法(いわゆる解の公式)の一括を試みて、何次の一元方程式でもことごとく、そろばんによって速やかに解く一貫の方法を編み出した。 古くは加減乗除のような算数も算木・算盤によって行われていたが、そろばんが現れてからは、算木・算盤は数学で方程式の解を求めることのみに扱われるようになった。
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