筆算による求値
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/12/10 03:40 UTC 版)
am の値は、先述の筆算による方法(開平法)によりさらに簡単に計算できる。 本節は、これまでに登場した漸化式の原理により筆算の手順を説明するが、筆算の手順だけを知りたいのであれば、漸化式による説明の箇所を読み飛ばしても差し支えない x = 5630738.132 の正の平方根 √x の小数表示を求める。 まず、x の値を、小数点から2桁ずつ「ブロック」に分けて書く。 √5 63 07 38. 13 2 各ブロックは、zm = 100(zm+1 − rm+1) + 10x2m+1 + x2m の下線部に該当する。 左側に縦2つ等しい値を書き、積が左端のブロック (5) を超えない最大の値 (2) を見つける。ブロック (5) の上に見つけた値 (2) を書く。左の筆算を立て、下に和の計算結果 (4) を書く。ブロック (5) の下に、左の筆算の、和でなく積の計算結果(この場合は和と同じ 4)を書く。筆算を立て、差の計算結果 (1) をその下に書く。 2 2 √5 63 07 38. 13 2 積が5以下の最大値→2 4←左の筆算の積 和→4 1←差 z4 = r4 = 0 より z3 = 10x8 + x7 = 5。q3 = 0 より、(0 + a3)a3 ≤ 5 を満たす最大の a3 は a3 = 2。この時 r3 = 2 × 2 = 4。次の計算のために、z3 − r3 = 5 − 4 = 1, q2 = 2 + 2 = 4 を計算しておく。 差の計算結果 (1) の右隣りに、上のブロック (63) を下ろす。左の筆算の末位に縦2つ等しい値を書き、積が下ろしてできた数 (163) を超えない最大の値 (3) を見つける。ブロック (63) の上に見つけた値 (3) を書く。左の筆算を立て、下に和の計算結果 (46) を書く。下ろしてできた数 (163) の下に、左の筆算の積の計算結果 (129) を書く。筆算を立て、差の計算結果 (34) をその下に書く。 2 3 2 √5 63 07 38. 13 2 2 4 ↓ ブロックを下ろす 43 1 63 積が163以下の最大値→ 3 1 29←左の筆算の積 和→46 34←差 z2 = 100(z3 − r3) + 10x5 + x4 = 163。(40 + a2)a2 ≤ 163 を満たす最大の a2 は a2 = 3。この時 r2 = 43 × 3 = 129。次の計算のために、z2 − r2 = 163 − 129 = 34, q1 = 43 + 3 = 46 を計算しておく。 同様の計算を(m = −5 まで)行うと、次のようになる。 2 3 7 2. 9 1 7 6 4 2 √5 63 07 38. 13 20 00 00 00 2 4 43 1 63 3 1 29 467 34 07 7 32 69 4742 1 38 38 2 94 84 47449 43 54 13 9 42 70 41 474581 83 72 20 1 47 45 81 4745827 36 26 39 00 7 33 22 07 89 47458346 3 04 31 11 00 6 2 84 75 00 76 474583524 19 56 10 24 00 4 18 98 33 40 96 474583528 57 76 83 04 これより √5630738.132 = 2372.91764… である。 検算してみると、 2372.917642 = 5630738.1262231696 2372.917652 = 5630738.1736815225 となり 2372.91764 < √5630738.132 < 2372.91765 が確かに成り立つ。
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