開平法とは? わかりやすく解説

開平法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/13 03:32 UTC 版)

開平法(かいへいほう、: extraction of square root)とは、平方根小数表示を求めていくアルゴリズムである。開平開平算開平計算とも。平方根を求めることを開平するという。開法の一種。

開平法の原理

与えられた正の数の正の平方根の小数表示を求めるために、ここではまず漸化式を立てて、一般的な求値法を求める。そして、求値の明確化のために、開平法と呼ばれる筆算の原理を導出する。以下は十進法表示の場合だが、他の位取り記数法でも同様な計算で求められる。ここで述べるのと基本的には同じ方法で、立方根を求める開立法や、もっと一般に n 乗根を求めることも可能である。

問題の定式化

与えられた x (x > 0) に対し、10k の位 ak (kn) を求める:

正方形ABCD の面積は 10−2mx, 青い正方形の面積は 100pm2 で、橙色と桃色の部分の面積の和が (20pm + am)am = rm である。pm の値はすでに決まっていて、am をどこまで大きく取れるのかが問題である。

am10m+1pm + 10mamx を満たす最大の am、すなわち

(20pm + am)am ≤ 10−2mx − 100pm2 … (1)

を満たす最大の am である。これを見つける。

am の値は 0 から 9 までの 10 通りなので、順に試していけば am は求まる。
m = n のとき、pn = 0 より
an2 ≤ 10−2nx
m < n のとき、
20pmam ≤ (20pm + am)am ≤ 10−2mx − 100pm2

pm ≠ 0 より

平方の一の位から左へ2桁ずつ区分して、根の桁数が2桁であることを調べる。(根の定位による)
最後の区分された数 42 に含まれている平方根 6 を求めて、初根 6 を置き、初根 62 乗 (62 = 36) を 42 から引く。
初根 62 倍の 12 を、左に置き、その 12 で残りの平方を割って、次根 5 を初根の隣りに置く。
次根 52 乗 (52 = 25) を引く。
平方根は 65 である。

半九九法

例:4225 = 65

平方の一の位から左へ2桁ずつ区分して、根の桁数が2桁であることを調べる。(根の定位による)
最後の区分された数 42 に含まれている平方根 6 を求めて、初根 6 を置き、初根 62 乗 (62 = 36) を 42 から引く。
残りの平方 6252 で割る。(初根の 2 乗を引いたあと、いつも残りの平方を 2 で割る)
2 で割った平方の残りを、初根 6 で割って次根 5 を求める。
次根 5 の半九九 12.5 を引く。
平方根は 65 である。

関連項目

外部リンク


開平法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/23 00:17 UTC 版)

籌算」の記事における「開平法」の解説

籌算による開平計算アルゴリズム開方術として『九章算術』に記載されており、いくらか用語は異なるが『孫子算経』にも記述がある。 『孫子算経中巻19問に平方根の近似値 234567 ≈ 484 311 968 {\displaystyle {\sqrt {234567}}\approx 484{\tfrac {311}{968}}} を求め問題がある。 今有積二十千五百六十七步。問:為方幾何?答曰:四百八十四步九百六十 八分步之三百十一孫子算經. - ウィキソース. この計算アルゴリズムを以下に示す。 (1) 算盤2段目(実(實))に数234567を作る4段目(下法)の10000の位に1を置く。 商 実 方法 下法 (2) 平方根の1までを400見積もり、1段目(商)の100の位に4を置く。商と下方の積 1 × 4 = 4取り3段目(方法)に書く。 商 実 方法 下法 (3) 実の23」から商と方法の積 4 × 4 = 16差し引き2316 = 7 を残す。 商 実 方法 下法 (4) 方法の4を2倍にして、1ぶん右に動かす(縦式を横式に変える)。次に下法を2ぶん右に動かす。 商 実 方法 下法 (5) 平方根の2目を8と見積もり、商の10の位に8を置く。次に、今加わったの「8」と下方1との積を取り方法加える。 商 実 方法 下法 (6) 方法第1の「8」に第2の「8」をかけ、その積を実の74」から差し引く。その結果 74 − 8 × 8 = 10 が実に残る。 商 実 方法 下法 (7) 次に方法第2の「8」を自乗したものを、実の105」から差し引く。その結果 105 − 8 × 8 = 41 が実に残る。 商 実 方法 下法 (8) 方法88最終「8」を2倍して最終除いた80」に加える。方法80 + 8 × 2 = 96 となる。 商 実 方法 下法 (9) 方法を右に1ぶん移す。次に、下法を右に2ぶん移す。 商 実 方法 下法 (10) 平方根の3目を4と見積もり、商に記す。次に、今加わった4と下方1との積を取り方法加えて964とする。 商 実 方法 下法 (11) 方法の第1の9に第3の4をかけて、その積を実の41」から差し引く。その結果 41 − 9 × 4 = 5 が実に残る。 商 実 方法 下法 (12) 続いて方法の第2の6に第3の4をかけて、その積を実の56」から差し引く。その結果 56 − 6 × 4 = 32 が実に残る。 商 実 方法 下法 (13) さらに、方法第3の4を自乗したものを実の27」から差し引く。その結果 27 − 4 × 4 = 11 が実に残る。 商 実 方法 下法 (14) 方法第3の4を2倍して第3除いた960加え、968とする。 商 実 方法 下法 最後に残った商の484実の311方法の968は、求め平方根 234567 ≈ 484 311 968 {\displaystyle {\sqrt {234567}}\approx 484{\tfrac {311}{968}}} を表している。 北宋数学者賈憲(中国語版)は、開平計算途中で方法」を2倍する代わりに効果変わらないが「商」の1を「方法」に加えアルゴリズム発展させた。

※この「開平法」の解説は、「籌算」の解説の一部です。
「開平法」を含む「籌算」の記事については、「籌算」の概要を参照ください。

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