第2世代医薬品
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 16:17 UTC 版)
第2世代の阻害薬は、第1世代阻害薬の使用に伴う上流のシグナル伝達の問題を克服すべく創出された。第1世代阻害薬の問題の1つはリン酸化S6Kによるネガティブフィードバックの存在に関するものであり、S6Kはインスリン受容体をリン酸化によって阻害する。mTORC1の阻害によってこのネガティブフィードバックループが存在しなくなった場合、mTORC1の上流の調節因子は正常なmTORC1活性存在下よりも強く活性化されることとなる。他の問題は、mTORC2はラパマイシンに耐性があり、これもまたAktの活性化によってmTORC1の上流で機能することである。そのため、ラパマイシンやラパログによる阻害時にはmTORC1の上流のシグナル伝達は非常に活性が高いままとなる。また、ラパマイシンとそのアナログには副作用として、活性化されたイムノフィリン(英語版)であるFKBP12への結合によって引き起こされる血液凝固抑制作用があり、ゲダトリシブ(英語版)、WYE-687(英語版)、XL-388(英語版)など構造的に無関係なmTORC阻害薬ではこうした作用は見られない。 第2世代阻害薬は、mTORタンパク質自身のキナーゼドメインのATP結合モチーフに結合し、双方のmTOR複合体の活性を遮断する。さらに、mTORとPI3KはどちらもPI3K関連キナーゼ(英語版)(PIKK)ファミリーのキナーゼであるため、一部の第2世代阻害薬はmTOR複合体とPI3Kを二重に阻害する機能を持つ。PI3KもまたmTORC1の上流で作用する因子である。
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