第十二の警察隊長の語った物語
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/25 10:08 UTC 版)
「千夜一夜物語のあらすじ」の記事における「第十二の警察隊長の語った物語」の解説
第十二の警察隊長ナスル・アル・ディーンは次のように語った。 昔、ある王は子がないのを悩んでいたが、ある日マグリブ人が現れ、子が生まれる魔法の飴を出し、生まれてくる長男を渡すと約束するなら飴を渡すと言うと、王は承諾し、王が緑、王妃が赤の飴を舐めると、ほどなく子が生まれ、長男はムハンマド、二男はアリ、三男はマハムードと名付けられた。長男のムハンマドは聡明な子であったが、アリとマハムードは暗愚であった。 10年後、そのマグリブ人が長男をもらいに来たが、王は聡明なムハンマドではなく、暗愚なアリを渡した。マグリブ人はアリを連れて半日歩き、アリに空腹かと聞くと、「半日あるいて空腹でないはずがないだろう」と答えたので、マグリブ人はアリを聡明でないと思い、王の元に連れて帰り、本当の長男を要求し、王はムハンマドを渡した。マグリブ人はムハンマドを連れて半日歩き、空腹かと聞くと、「あなたが空腹なら私も空腹です。」と答えたので、マグリブ人は満足し、旅を続け屋敷に帰った。 マグリブ人は実は拝火教徒で、ムハンマドに1冊の魔法書を渡し30日で暗記するように言ったが、ムハンマドはその言語が分からず読むことすらできなかった。29日目に困って屋敷の庭にいると、木に自分の髪で吊り下げられている少女を見つけた。それはマグリブ人に捕えられたある国の王女で、ムハンマドは王女の髪を解き助けた。王女は魔法書の読み方をムハンマドに教えたが、「マグリブ人には暗記できなかったと答えるように」と言い、再び髪で木に吊り下げるよう言った。30日目ムハンマドが暗記できなかったと言うとマグリブ人は怒り、ムハンマドの右手を切り落とし、もう30日で暗記するよう言った。ムハンマドは再び王女と会うと、王女は魔法で右手を直し、魔法でラクダを2頭出して、「国に帰ったら、求婚しに訪ねてくるように」と言って、それぞれラクダに乗ってそれぞれの国に帰った。 ムハンマドは国に帰り、王と再会した。ムハンマドは、宦官にラクダの手綱は売らないように言ったが、宦官はラクダとともに手綱を売り、買った商人の元から魔法のラクダは消えたが手綱は残った。商人は驚いたが、そこに例のマグリブ人が来て、手綱を高額で買い取った。マグリブ人が魔法の手綱を使うと、ムハンマドはラクダになり、手綱につながれてしまった。マグリブ人はムハンマドのラクダに乗り、王女の国まで旅をしたが、王女の国に着くと、ムハンマドは手綱を食いちぎり逃げ出し、王宮の柘榴の木の実に変身した。マグリブ人はムハンマドを捕まえるため、その国の王に会い柘榴を求めるが、柘榴を取ろうとした瞬間、変身を解いたムハンマドに刺殺された。ムハンマドは王女と結婚し、幸せに暮らした。
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