第一量子化と第二量子化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/06 05:19 UTC 版)
「第二量子化」の記事における「第一量子化と第二量子化」の解説
量子論では同種の粒子は全く区別がつかない。N個の同種粒子から成る系は、等価であるが一見異なった2つの方法で記述できる。 第一の方法では、N粒子系のヒルベルト空間を構成するために、1粒子ヒルベルト空間のN個のテンソル積を考え、それを粒子の入れ替えに対しボゾン系では完全対称なもの、フェルミオン系では非対称なものへ制限する。このような多体系の取り扱いを第一量子化とよぶ。同種粒子の不可弁別性のため、同種粒子を含む系の状態ベクトルや物理量は一定の対称性を持つものに限られる。その対称性は、基本変数を粒子の「位置と運動量」にとった量子論では少し不自然にも見える形で現れる(波動関数の対称性、反対称性など)。この不自然さは、個々の粒子に別々の「位置と運動量」を割り当てるのは粒子が区別できることが大前提であるのに、区別ができない粒子にそれをやってしまったことによる。N粒子系を記述する多体波動関数は、系の粒子がフェルミ粒子なら任意に選んだ 2 粒子の交換により多体波動関数の符号が変わる(反対称)。一方、系の粒子がボース粒子なら 2 粒子の交換に対し符号は変わらない(対称)。 第二の方法では、粒子の生成消滅演算子を考え、粒子が1つもない状態に生成演算子をN個作用させた状態としてN体系を記述する。このような多体系の取り扱いを第二量子化と呼ぶ。第二量子化では基本変数を「場」とその共役運動量にとることで、同種粒子の区別がつかないことや状態ベクトルや物理量の対称性なども自動的に理論に組み込まれ、すっきりしたものになる。
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