立地調査の開始
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 07:31 UTC 版)
「福島第一原子力発電所」の記事における「立地調査の開始」の解説
東京電力原子力発電課は、設計研究を進める一方で立地について関心を強め、課員らは伊豆半島、姉ヶ崎、鹿島、東海村、水戸射爆場跡地などを俎上に上げていた。これらの内、伊豆半島は地震多発地帯であり、岩盤に亀裂が多いことから避けられ、姉ヶ崎は東京湾岸で人口密集地に近いことから対象より外された。水戸射爆場跡地は日本原子力発電も隣接地に目をつけており、東海発電所の立地点となった。 立地選定活動について定量的に記載したものとしては、調査を担当した小林健三郎 が『土木施工』1971年7月号に投稿した記事がある。これによれば、発電所の総建設費を設置場所に係わりなく定まる固定費(例:主要機器)と、設置場所により変動する立地費に区分し、更に立地費を10項目に区分した。更に発電所の総建設費に送電線費を加えた額を初期投資として考慮し、立地費と送電線費が最も安価となる地点を調査した。政治、社会的条件は無視したという。この結果、同社管外を含め全国より291地点を素材地点として選定、当時の原子力立地基準に適合している73地点を選定した。実際に決定した敷地は「地点番号8:長者ヶ原」としてこの73地点に含まれている。開発規模4000MWで立地費を算定すると全国平均が4530円/kWに対して当地点は2887円/kW(いずれも算定年1967-1968年度)で平均値より低くなった。なお、双葉町に増設を決定する前の開発規模4基2812MW で立地費を算定すると3809円/kWとなり、開発規模を大きくとることでスケールメリットの利益を得られる旨が指摘されている。
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