積分の平均値定理
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 11:16 UTC 版)
詳細は「積分の平均値定理(ドイツ語版)」を参照 関数 f(x) が有限の容積 vol(E) をもつ集合 E 上で有界かつ可積分ならば、f(x) の E における積分値を E において平均化した値は、 E における f(x) の上限 sup f(x) と下限 inf f(x) の間にある: inf x ∈ E f ( x ) ≤ 1 v o l ( E ) ∫ E f ( x ) d x ≤ sup x ∈ E f ( x ) . {\displaystyle \inf _{x\in E}f(x)\leq {\frac {1}{\mathrm {vol} (E)}}\int _{E}f(x)\,dx\leq \sup _{x\in E}f(x).} これを積分の第一平均値定理という。また、もう少し一般に拡張した形のものを指すこともあり、それは次のように述べられる。集合 E 上で f(x) が有界、g(x) が可積分ならば、積 f(x)g(x) は可積分であって、 inf x ∈ E f ( x ) ≤ μ ≤ sup x ∈ E f ( x ) {\displaystyle \inf _{x\in E}f(x)\leq \mu \leq \sup _{x\in E}f(x)} となる定数 μ のうちに等式 ∫ E f ( x ) | g ( x ) | d x = μ ∫ E | g ( x ) | d x {\displaystyle \int _{E}f(x)|g(x)|\,dx=\mu \int _{E}|g(x)|\,dx} を満たすものが存在する。ここで f(x) が連続ならば、E の点 ξ を適当に取れば μ = f(ξ) と書けることが中間値の定理から従う。特に一変数の場合を考えれば、有界な関数 f(x) が区間 [a, b] で連続かつ積分可能ならば 1 b − a ∫ a b f ( x ) d x = f ( ξ ) {\displaystyle {\frac {1}{b-a}}\int _{a}^{b}f(x)\,dx=f(\xi )} を満たす ξ が a < ξ < b の範囲に存在する。この式の左辺は、関数 f(x) が区間 [a, b] で掃く“符号付き”面積 ∫ab f(x) dx を区間の全長(図形の横の長さ)b − a で割ったものである。したがってこの等式は、関数 f(x) が区間 [a, b] において掃く図形の平均の“符号付き”高さ(その符号付き面積を持つ図形を一定の符号付き高さに均したときの高さ)を実現する点が区間内に存在することを保証する。 第一平均値定理の系として、開区間 (a,b) において有界変動かつ連続な関数 F(x) と有界な単調関数 φ(x) に対して、φ(x) はルベーグ・スティルチェスの意味で F(x) に関して可積分であって、a < ξ < b で ∫ a b φ ( x ) d F ( x ) = φ ( a + 0 ) { F ( ξ ) − F ( a + 0 ) } + φ ( b − 0 ) { F ( b − 0 ) − F ( ξ ) } {\displaystyle \int _{a}^{b}\varphi (x)\,dF(x)=\varphi (a+0)\{F(\xi )-F(a+0)\}+\varphi (b-0)\{F(b-0)-F(\xi )\}} を満たすものが存在することが示せる。これを第二平均値定理という。特に、開区間 (a,b) において、f(x) が可積分で φ(x) が有界かつ単調な関数であるならば、f(x) の不定積分が第二平均値定理にいう F(x) の条件を満たしているので、この場合の第二平均値定理の等式は ∫ a b f ( x ) φ ( x ) d x = φ ( a + 0 ) ∫ a ξ f ( x ) d x + φ ( b − 0 ) ∫ ξ b f ( x ) d x {\displaystyle \int _{a}^{b}f(x)\varphi (x)dx=\varphi (a+0)\int _{a}^{\xi }f(x)\,dx+\varphi (b-0)\int _{\xi }^{b}f(x)\,dx} の形に表せる。
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