移民問題をめぐる論議
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/08 09:05 UTC 版)
「シエラクラブ」の記事における「移民問題をめぐる論議」の解説
1990年代を通じてシエラクラブ会員の一部には、アメリカの移民問題にクラブは踏み込むべきだという意見があった。クラブは人口過剰が環境悪化の一大要因であるという立場をとる。クラブはアメリカや世界の人口を縮小・安定させることに賛成という立場であるという。一部の会員は実際問題として現行の水準で移民を受け入れながら対策を講じずにアメリカの人口を安定化することなど不可能であるとしている。この立場の会員は、クラブが移民制限の政策を支持するよう提案している。一方他の会員は、移民問題はクラブ理念の核心から距離がありすぎ、この問題に深入りすると組織の政治力が分散され他の問題に対処できなくなると懸念する。役員会は後者の意見を重視して1996年に、クラブが移民問題に対して中立の立場をとることを多数決で採択した。 移民受け入れの縮小を支持するグループは、シエラクラブの内規に基づく全員投票でこの決定を覆そうと考えた。彼らはグループにSierrans for U.S. Population Stabilization(アメリカの人口安定を望むシエラ会員)の頭文字をとったSUSPSという名をつけた(ただしこの名は商標登録したクラブ名をSierransの中に使ったと批判されて以来使われない)。SUSPSと賛同者が1998年春のクラブ選挙における懸案事項として移民問題を採りあげるのに必要な数の署名を集めた。クラブとして移民問題には口を挟まないとした役員会の決定は、全会員の投票で3対2の比率で支持されたが、SUSPSは投票には不正があったと訴えた。 移民問題に対するクラブの中立的立場を変えようと、2004年の委員会選挙に3人の移民問題介入派が立候補したために、論議が再度浮上した。選挙運動は白熱し、両陣営の間で倫理や法に抵触しかねない激しい中傷合戦に発展した。介入派は訴訟に踏み切ったが、程なくこれを取り下げた。Southern Poverty Law CenterやMove onなどの外部団体がこの問題に干渉したことがわかり、結果的に介入派はわずか10%の票しか獲得できず、紛争は決着した。
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