移植に伴う拒絶反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/14 23:45 UTC 版)
人体には細菌やウイルスなどの異物が侵入した場合、これを識別し排除するための機能が備わっており、この一連の反応を免疫反応という。免疫反応は他人の臓器を移植した場合も同様に発生し、移植腎が拒絶反応を起こすことによって腎機能低下や廃絶の原因となり得る。 超急性期拒絶反応 移植直後から発生する超急性期拒絶反応は、ドナー抗原に対するレシピエントの既存抗体が、移植組織に結合して引き起こされる液性免疫と考えられている。 臓器虚血により移植腎を失う可能性が高く、多くの場合摘出が必要になる。現在では事前の血液型やHLA抗体の適合性検査により発生は稀であるが、輸血により抗体ができている場合や多次移植の場合に起こりうる。 急性期拒絶反応 急性拒絶反応は移植後3カ月以内程度に起こる拒絶反応で、細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)の遅延型反応によって引き起こされると考えられている。 腎臓移植において頻繁に発生する拒絶反応であり、ステロイドパルス療法などの強力な免疫抑制療法によって多くの場合は正常に機能し、予後は長期生着が期待できる。 慢性拒絶反応 移植後3ヶ月後以降に発生する慢性拒絶反応は、体液性免疫の他、免疫抑制剤の毒性、高血圧や高脂血症などの血管障害など様々な影響が考えられ、詳しい病態がわかっておらず、治療法も確立していない。免疫抑制剤を増やしたり血漿交換による抗体の除去が行われることもあるが、移植動脈硬化、移植片の虚血や線維化が徐々に進行し腎機能が低下していく。
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