秘密警察への協力疑惑
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/26 01:16 UTC 版)
「ミラン・クンデラ」の記事における「秘密警察への協力疑惑」の解説
上述の通り、クンデラは共産党の一党独裁に抵抗した作家として認知されている。 しかし2008年10月、1950年に西ドイツに亡命し、諜報組織に加わった元チェコスロバキア空軍パイロットが、スパイとしてプラハに潜入した際、彼の立ち寄り先を知人から聞かされたクンデラは、チェコスロバキア秘密警察に密告、その結果元パイロットは逮捕されたとする記録が明らかになった。これは、政府系の歴史研究所「チェコ全体主義体制研究所」が発見したもので、地元の週刊誌『レスペクト』によって報じられ、文書のコピーも掲載された。元パイロットは逮捕後、裁判で懲役22年と1万コルナの罰金、財産の没収、市民権の剥奪の判決を受け、14年間強制労働の刑に服し、その中でウラン鉱山での労働に従事させられた時期もあったという。 クンデラはこの件について「作り話」と全面否定した。警察の記録にも、クンデラの名前が記されているが、署名やIDカードの記載などはなく、秘密警察による文書の偽造・捏造の例があることから、真偽は定かではないが、彼の作品には裏切りの物語が多く、特に『冗談』では、主人公が友人の密告によって大学を追放され、鉱山送りにされる旨が描かれるなど、類似点が多いため、これらは実体験に基づいて書かれた作品なのではないかという臆測も飛び交っている。
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