科学・神学・哲学
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/17 09:22 UTC 版)
宗教文学にも未完成のものがあり、欠けている内容についての議論をひきおこした。マルコ福音書の現存する内容は未完成であると一般に考えられている。バーブ教の聖典であるバヤーンは、セイイェド・アリー・モハンマドの死亡によって未完のまま遺された。バーブ自身は「神が明らかにするであろう者」が補完すると言っていたが、他者によってテキストはすでに補完されているとする説もある。トマス・アクィナスは『神学大全』の執筆を1273年に中断した。この理由としてアクィナスはミサの間に起こった神秘体験を挙げている。『神学大全』の神の実在に関する議論は、700年以上にわたってキリスト教神学に影響を及ぼしている。ギリシャ哲学では、プラトンの『クリティアス』はプラトンの死去により未完成になっている。 計算機科学にきわめて大きな影響を及ぼしたジョン・フォン・ノイマンのEDVACに関する報告書の第一草稿は、1946年に書かれた101ページの草稿で、他の要素を追記するために省略記号やスペースを雑多に書き散らした構成になっている。ノイマンはこれを完成させなかった。完成させようとした時にはすでに第一草稿が広まり、戦後の爆発的なコンピューター開発に影響を及ぼした後だったためである。第一草稿により成されたプログラム内蔵の概念およびコンピューター・アーキテクチャーの論理設計の定式化は(全てがノイマンのオリジナルの考えというわけではないが、数学的表現でまとめたのはノイマンが最初)、現代のノイマン型コンピューターシステムの中でなおも有効である。
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