社会に対する応用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 15:26 UTC 版)
「科学的認識の成立条件」の記事における「社会に対する応用」の解説
板倉は科学的認識の理論を社会にも適用して次のように述べている。 社会の仕組みを私たちが直接見ることができないからといって、それらを認識できないわけではない。また、与えられた事実をそのまま受け取って社会を判断しなければならないわけではない。ここでも私たちはいろいろ疑ってみて、社会の本当の仕組みがどうなっているか、-たとえば、ソ連やアメリカの政治・社会はどうなっているのか、日本は本当に独立しているかなど-いろいろな予想を立ててみて、その予想が正しいか間違っているか、何を調べれば良いかを突き止めて、それから確かな事実をもとにして調べてみるということが必要なのである。 例えば「ソ連はクレムリンの独裁だとすると、労働者は進んで働こうとしないだろうが、事実はどうだろうかとか、「日本が本当に独立しているとすれば吉田政府のやり方はどうも変ではないか」とか調べていけば、いくら大量の一方的な宣伝によってもごまかされることなく、少なくとも大筋のところははっきりつかめるようになるに違いない。 私たちはこのような社会の仕組みをしっかりつかんでいないと、しばしば表面的な類推によって失敗することになる。例えば社会主義社会と資本主義社会とをその社会の構造の根本的な違いを考えることなしに表面的に比較してはならないはずである。 私たちが予想をより確かなものとするには、どんな場合にも過去の経験に学び、予想を絶えずさまざまな実践によって点検し、対象の表面的な理解ではなく、全体との関連において構造的・本質的な理解へと進まなければならない。そのような予想と実践による点検との結合無しには、過去の経験を生かし、より確かな予想を得ることはできないのである。 「仮説実験授業#社会の科学の授業書の開発」も参照
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