確定草案の採択
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/12 16:48 UTC 版)
「GHQ草案手交時の脅迫問題」の記事における「確定草案の採択」の解説
閣僚たちは日本側が受諾しなくてもGHQは草案を公表すると信じており、そうなれば新聞はそれに賛成し、内閣は草案を支持する左翼政権に道を譲って総辞職せざるを得ないと判断した。閣議は午後4時頃ようやく一段落し、その後、閣議を一時中止して、午後5時頃、幣原首相と松本国務大臣は参内して奏上した。午後8時過ぎ、幣原の帰りをまって再開された閣議で、初めて確定草案の翻訳全部が閣僚に配布された。憲法の各条に渡っての審議などまるで行えない状態であった。天皇から改正案に対する承認を得たことで、閣僚たちは草案受け入れの手続きに入り、閣議は午後9時15分に至ってようやく終了した。その日の閣議の様子を松本は次のように回想した。 私はなにしろこんなものを急いでやるからこういうやっかいなことになる。そんなに急いでやらなければならん理由がどうも分からぬ。少しでも遷延して、興奮した状態を去ってからやるようにしたいと思ったのだから、この不完全なものをすぐそのままとらずにもう少し待って、もう一ぺん総理でも行って話をしてもらいたいということをずいぶん言ったのです。ところがいやもう向うの状態は非常に事急でそんなひまはないのだということを、たしか楢橋君だったかだれか言われまして、のまなければたいへんなことだし、のむよりほかないだろうというような意見が多数でしたよ。そのときぼくの考えに賛成した人がいたのかどうか覚えはないんですがね — 『松本烝治氏に聞く』より
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