硬貨の周囲の溝(ギザ)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 09:19 UTC 版)
「日本の硬貨」の記事における「硬貨の周囲の溝(ギザ)」の解説
金貨や銀貨などの硬貨の周囲を数ミリ削り取り、それを溶解して新たな偽造硬貨を作ることが横行したため、これを防ぐために貨幣の周囲(側面)にギザギザ状の溝を付けたのが本来の目的であった。実際に、明治の造幣局創業以降に日本で発行された全ての金貨やほとんどの銀貨においては周囲にギザが刻まれていた。 金貨・銀貨が一般流通用として発行されなくなった現代ではその意味合いは薄れ、特に視覚障害者にとって硬貨の判別を容易にすることを目的に、原則として高額面の硬貨の周囲にギザが刻まれている。第二次世界大戦中から終戦直後の混乱期にかけてはギザの有無と額面金額の関係性が崩れていた時期もあったが、1959年(昭和34年)発行の十円青銅貨がギザ有りからギザ無しに変更されたことにより、これ以降は硬貨のギザの有無に加え、前述の硬貨の中心の穴の有無、そして重さの3要素により視覚に頼らなくとも硬貨の識別が可能となっている。 なお、1982年(昭和57年)に発行された五百円白銅貨ではギザに代わって文字(レタリング)が刻まれたほか、2000年(平成12年)に発行された五百円ニッケル黄銅貨では偽造防止力向上を目的として、側面の溝の角度を硬貨面に対して斜めにした「斜めギザ」という特殊なギザが用いられている。更に、2021年(令和3年)発行の五百円バイカラー・クラッド貨では、これまた偽造防止力向上のため、斜めギザの一部分の間隔・勾配を他のギザとは異なる形状にした「異形斜めギザ」と呼ばれるタイプの更に特殊なギザが採用されている。
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