研究における交絡の回避方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/09/14 13:10 UTC 版)
研究において、積極的に交絡変数を除去したり制御したりする方法はいくつか存在する。 ケースコントロール研究(case-control studies) ケース群とコントロール群に等しく交絡因子があるものとする。例えば、心筋梗塞の原因の研究をするとき年齢が交絡変数と考えられるなら、67歳の梗塞患者(ケース)と67歳の健常者(コントロール)を対照する。ケースコントロール研究では、対照変数は年齢や性別であることが多い。 コホート研究(cohort studies) 例えば、年齢が交絡因子と考えられるとき、年齢層をそろえた集団(コホート)を対象として観測する。その中で例えば心筋梗塞の原因として運動量の多寡で対照する。 層化(stratification) 心筋梗塞において、運動量が多ければ罹患する可能性が低いと考えられ、年齢が交絡因子と考えられるとする。サンプリングされたデータは年齢層によって層化される。すなわち、運動量と心筋梗塞の関係を各年齢層毎に分析する。年齢層によって危険率に差が生じるなら、年齢が交絡因子と考えられる。層化されたデータを扱う統計手法としてマンテル=ヘンツェル法などがある。 これらの手法にはそれぞれ欠点がある。例えば、45歳のアラスカ出身の黒人で、フットボール選手で菜食主義者で教育者として働いている人が何らかの病気にかかり、ケースコントロール研究の対象者になったとする。対照者として属性がほとんど同じでその病気にかかっていない点だけが異なる人を見つけなければならないが、これは大変な作業である。また常に過大対応や過少対応の危険性がつきまとう。コホート研究では、除外される人があまりにも多くなる傾向があり、層化では層が薄くなりすぎる(標本サイズが小さすぎる)傾向がある。 既知の交絡因子を測定することによって交絡を制御し、それらを多変量解析における共変動とする方法もある。層化に比較して、交絡変数の強さに関する情報をほとんど得られないという欠点がある。 重要な問題として、交絡変数は必ずしも判別し測定可能とは限らない。疫学では交絡を完全に制御できないことを指して「残余交絡(residual confounding)」と呼ぶ。標本サイズが大きいなら、無作為化(無作為割付)が最も良い方法であることが多く、その場合は全ての交絡変数(既知も未知も含めて)が全ての研究対象群に等しく分散していると考えられる。
※この「研究における交絡の回避方法」の解説は、「交絡」の解説の一部です。
「研究における交絡の回避方法」を含む「交絡」の記事については、「交絡」の概要を参照ください。
- 研究における交絡の回避方法のページへのリンク