石油の除去と回復
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 17:12 UTC 版)
流出した石油はしばしば分解されることなく拡散し、水底に沈殿する。石油の流出による影響から環境を回復させることは困難であり、その成否は流出した石油の種類、水温(水温が高いと蒸発する種類の石油もある)、石油が漂着した岸の形態など、様々な要因に左右される。 除去の手段には以下のようなものがある。 吸着マット - 水に浮かび石油を吸着する。ロール型やシート型など様々な形状のものがある。素材はポリプロピレンなど。粘り気の少ない石油に対し有効で、水分を含んだ状態で使用すると吸着率が増す。 オイルフェンス(containment boom) - 流出した石油を集めるために使う。シート型の吸着マットを使用する場合には回収を確実にするためにオイルフェンスを組み合わせる必要がある。 油回収ネット - 吸着マットを詰めた網。 油処理剤(流出油乳化分散剤) - 石油を乳化し、水中に分散させるための薬剤。初期の薬剤は毒性が強く二次的な被害を引き起こしたが、改善が進んでいる。なお、揮発性の低い重質油は時間の経過とともに「固めのグリース状」に変性する(ムース化)が、ムース化した石油に対しては油処理剤が効果を発揮しない。油処理剤を使用する際には、油よりも先に水に触れないようにする、油吸着ネットと併用しないようにするなどの注意が必要である。 ゲル化剤 - 石油を凝固させる薬剤。石油の気化を防ぐ効果もある。 バイオレメディエーション - 微生物や生物剤(英語版)の使用による分解・除去。 上記バイオレメディエーションを促進する薬剤の使用。 燃焼 - 適切に燃焼させることができれば、水中の石油を減少させることができる(ただし大気汚染を引き起こす)。 汲みとり - 柄杓、油回収枠などを使って汲みとる。
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