真作の再発見
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/03 10:04 UTC 版)
2006年11月にフラ・アンジェリコの失われたと考えられていた2点の作品が発見されたという報道が世界中でなされた。ジーン・プレストンが所有していたイングランドのオックスフォードにある「質素なテラスハウス」の空き部屋に飾られていた絵画で、ジーンの父が1965年にそれぞれ100ポンドで購入したものを、1974年に父が死去した際にジーンが相続した絵画だった。ジーンは中世研究の専門家で、生前の父から絵画の作者は誰なのか調べて欲しいという相談を受けていた。ジーンはこの2点の絵画がルネサンス期のフィレンツェで描かれた優れた作品であると評価したが、父の代理でジーンが鑑定を依頼した画商も含め、誰一人としてこれらの絵画の作者がフラ・アンジェリコであると考えたものはいなかった。1960年代には中世美術品の需要はほとんどなかったために画商はまったく興味を示さず、ジーンの父も他の中世装飾写本を何冊か買い求めるついでに購入した絵画だった。皮肉なことにこのときの装飾写本はスペインの贋作家が作った偽物だったことが明らかになっている。しかしながら2005年になってからブリストル大学のマイケル・リヴァシッジがフラ・アンジェリコの作品であると同定した。この2点の絵画は、1439年にフラ・アンジェリコがサン・マルコ修道院のために描いた大きな多翼祭壇画のサイドパネル8枚のうちの2枚で、200年以上前のナポレオン軍侵攻の際に裁断されて修道院から散逸していた。この祭壇画の中央部分はサン・マルコ美術館(以前のサン・マルコ修道院)が、6枚のサイドパネルはドイツ、アメリカの美術館がそれぞれ所蔵しており、今回発見された2枚のパネルは昔に失われたと考えられていたものだった。イタリア政府がこの2点の作品を買い上げようとしたが、2007年4月20日に行われたオークションで個人収集家が170万ポンドで落札した。現在これら2点の作品は修復されて、フィレンツェのサン・マルコ美術館に展示されている。
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