真値との関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 09:20 UTC 版)
併記された確率は、「真値」の存在確率を保証していない。拡張不確かさなどのように、たとえば「95%の信頼区間」などというふうに、不確かさに確率が併記される場合があるが、果たしてこの確率は一体どういった意味を持っているのだろうか。直感的には、「その表示された確率で、不確かさが正しい。」という意味で受け取れるだろう。しかし、そもそも「真値」は不明という不確かさ解析の前提を思い起こした時、 その表示された確率をどのように検証するのか? 「真値」を知らないのに確率の検証が出来るのか? などと言った問題が、不確かさ解析の根源的な問題としてつきまとう。 結論を言うと、たとえば拡張不確かさの場合、「その表示された確率で、不確かさに比例する何らかの区間の内部に、真値がふくまれるかどうか。」は、厳密に言うと「不確かさ解析」の理論では、いっさい保証していない。なぜなら、そもそも「真値」は不明という前提が、「不確かさ解析」の出発点だからである。その前提により、不確かさに比例する何らかの区間内に「真値」のふくまれている確率についても不明になる。とはいえ、一般の利用者からすれば、そこまで厳密に考える必要は無い。もし、そこまで厳密に考えてしまうと、「不確かさ」の意図することが一般利用者には不明になってしまうので、一般利用者ならば「不確かさ」を「誤差の標準偏差」に近い概念と思っても良い。 また、不確かさ解析の成立の歴史は、ガウス分布を前提とするという思い込みにもとづく統計解析をやめることも背景にあったため、そもそもガウス分布であることすら保証していない。このため、ガウス分布などの各種の統計確率分布を前提とした検定理論などに算出した検定結果の確率が出されていても、単に、仮にガウス分布であると仮定したうえでの単純計算した値であるのにすぎず、原則的に不確かさ解析では真値の含まれる確率を一切保証していない。
※この「真値との関係」の解説は、「不確かさ (測定)」の解説の一部です。
「真値との関係」を含む「不確かさ (測定)」の記事については、「不確かさ (測定)」の概要を参照ください。
- 真値との関係のページへのリンク