相対性理論の基礎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 22:23 UTC 版)
初めに静止している物体と動いている物体の長さを測定する方法を慎重に検討する必要がある。ここで「物体」とは常に相互に静止している、すなわち同じ慣性系で静止している端点を持つ距離を意味するだけである。観測者(もしくは測定器)と観測される物体との間の相対速度がゼロであれば、物体の固有長 L 0 {\displaystyle L_{0}} は測定棒を直接重ねることで簡単に決定することができる。しかし、相対速度が0より大きければ次のようにする。 観測者はポアンカレ・アインシュタイン同期に従い光信号を交換するか(a)、「スロークロック輸送」(1つの時計がすなわち1つの時計が消える輸送速度の限界で時計の列に沿って輸送される)(b)のどちらかにより同期された時計の列をinstallする。同期処理が終了すると、物体は時計の列に沿って移動され、全ての時計が物体の左端もしくは右端が通過した正確な時間を記憶する。その後、観測者は物体の左端が通過した時刻を記憶している時計Aと、物体の右端が「同時に」通過した時刻を記憶する時計Bの位置を見るだけで良い。距離ABが運動した物体の長さ L {\displaystyle L} に等しいことは明らかである。この方法を用いて運動している物体の長さを測定するためには同時性の定義が重要である。 別の方法は固有時間 T 0 {\displaystyle T_{0}} を示す時計(棒の静止系の時計により測定される時間 T {\displaystyle T} 内に端点から端点へ移動する)を使うことである。棒の長さは移動時間に速度を掛け算することで計算することができ、それにより棒の静止系では L 0 = T ⋅ v {\displaystyle L_{0}=T\cdot v} 、時計の静止系では L = T 0 ⋅ v {\displaystyle L=T_{0}\cdot v} となる。 ニュートン力学では、同時性と時間の長さは絶対的なものであるため、どちらの方法でも L {\displaystyle L} と L 0 {\displaystyle L_{0}} が等しいことが得られる。しかし、相対性理論では、同時性の相対性と時間の遅れに関連するすべての慣性系における光速不変により、この等価性が壊れる。第1の方法では1つの系の観測者は物体の端点を同時に測定したというが、他の全ての慣性系の観測者は物体の端点は同時に測定されていないというであろう。第2の方法では、時間 T {\displaystyle T} と T 0 {\displaystyle T_{0}} は時間の遅れにより等しくなく、結果として長さも異なる。 全ての慣性系での測定値の間の偏差はローレンツ変換と時間の遅れの式により与えられる(導出参照)。固有長は変化せず、常に物体の最大の長さを示し、別の慣性系で測定された同じ物体の長さは固有長よりも短くなることが分かる。この収縮は運動の線に沿ってのみ起こり、次の関係式で表すことができる。 L = L 0 / γ ( v ) {\displaystyle L=L_{0}/\gamma (v)} ここで Lは物体に対して相対的な運動をする観測者により観測される長さ L0は固有長(静止系での物体の長さ) γ(v)は γ ( v ) ≡ 1 1 − v 2 / c 2 {\displaystyle \gamma (v)\equiv {\frac {1}{\sqrt {1-v^{2}/c^{2}}}}\ } と定義されるローレンツ因子 vは観測者と運動する物体の間の相対速度 cは光速 元の式のローレンツ因子を置き換えると、次の式になる。 L = L 0 1 − v 2 / c 2 {\displaystyle L=L_{0}{\sqrt {1-v^{2}/c^{2}}}} この式ではLとL0の両方は物体の運動の線に平行に測定される。相対運動中の観測者の場合、物体の長さは、物体の両端の同時に測定された距離を引き算することにより測定される。より一般的な変換はローレンツ変換参照。光速に非常に近い速度で運動する物体を静止状態で観測する観測者は、進行方向の物体の長さを非常にゼロに近い長さとして観測する。 速度1340万 m/s (3000万mph, 0.0447c)では収縮した長さは静止時の99.9%であり、速度4230万 m/s (9500万mph, 0.141c)では長さは99%である。速度の大きさが光速に近づくにつれてこの効果は顕著になる。
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