登場人物の名称盗用問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/14 02:33 UTC 版)
「おんな太閤記」の記事における「登場人物の名称盗用問題」の解説
秀吉の妹・あさひの最初の夫副田甚兵衛の本名を「嘉助」としているが、これは放送に先だって連載されていた杉本苑子の『北政所お寧々』(後に『影の系譜』と改題して刊行)から無許可で流用されたものであった。連載を書くにあたり、主要登場人物の名前を調査したが不明に終わった杉本が、小説上の設定として「嘉助」と名付けた。本人曰く「フィクションの名」である。しかし『おんな太閤記』スタッフが実名と思い込んでドラマに採用し、『ドラマ・ストーリーおんな太閤記』に記載してしまった。 2つの作品が共通の名前を使うことにより、「フィクションの名」が事実として誤認されることを危惧した杉本は、当時面識のあった橋田壽賀子に、それぞれの立場から命名についての注意書きを活字にしておこうと申し入れた。しかし番組チーフプロデューサー伊神幹がNHK側のミスであり、橋田に責任はないとして謝罪し、著作権侵害に対する金銭的賠償を提示した。杉本側は、問題は著作権侵害ではなく、フィクションが史実として定着しかねない危険とそれを防ぐことだとして、これを拒否した。 日本文芸著作権保護同盟事務局長・夏目裕をオブザーバーに迎え、杉本・伊神との三者会合の結果、三者がそれぞれの立場から「嘉助の名はフィクションである」旨の一文を掲載・告知することが決定した。伊神幹の名では1981年5月11日付の「毎日新聞」夕刊文化面に(日本放送出版協会刊『放送文化』7月号、著作権保護同盟『同盟ニュース No.78』)、杉本は『北政所お寧々』(『影の系譜』と改題)のあとがきに、それぞれ同様の内容を掲載した。 また活字媒体、『ドラマ・ストーリーおんな太閤記』、橋田壽賀子作『小説・おんな太閤記』に掲載されていた「嘉助」の名は急遽削除され、すべて「副田甚兵衛」と書き換えられた。総集編のクレジットも、まだ「嘉助」と呼ばれていた第一回から「副田甚兵衛」と表記されている。 一連の事件については『影の系譜』あとがきに詳しい。
※この「登場人物の名称盗用問題」の解説は、「おんな太閤記」の解説の一部です。
「登場人物の名称盗用問題」を含む「おんな太閤記」の記事については、「おんな太閤記」の概要を参照ください。
- 登場人物の名称盗用問題のページへのリンク