用語の普及
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 03:56 UTC 版)
人新世という用語が広まるにつれて、正式な地質年代として登録する活動も始まった。2008年、ロンドン地質学会の層序学委員会は人新世を地質時代区分の正式な単位にすることを検討し、国際層序委員会(英語版)(ICS)では第四紀層序学小委員会の人新世ワーキング・グループ(AWG)も設立された。委員会の過半数が、この提案にはメリットがあり、さらに検証する必要があると判断した。地質学会から独立したさまざまな科学者のワーキンググループが、地質時間スケールに人新世が正式に受け入れられるか否かを判断するようになった。 2012年にリオデジャネイロで開催された国連持続可能な開発会議(英語版)では、動画作品『ようこそ、人新世へ』がオープニング上映され、国際社会に知られるようになった。2014年には学術誌『人新世レヴュー(The Anthropocene Review)』が創刊され、2015年には国際学術連合会議の国際プロジェクト「フューチャー・アース」プロジェクトが開始されて『人新世マガジン(Anthropocene Magazine)』が定期刊行された。 AWGは2016年4月にオスロで会合を開き、人新世を真の地質時代とする議論を支持する証拠をまとめた。証拠が評価されると、AWGは2016年8月に新しい地質時代として人新世を勧告することを票決した。ICSがこの勧告を承認した場合、この用語を採用する提案は、地質時間スケールの一部として正式採用される前に国際地質科学連合(IUGS)によって批准される必要がある。 2019年6月時点で、ICSとIUGSは人新世を地質時代の公認下位区分としては正式に承認していない。AWGは、地質時間スケールで人新世を定義するための公式なゴールデンスパイク(GSSP)の提案に向けて2016年4月に票決を行い、その勧告を2016年8月の万国地質学会議に提示した。2019年5月、AWGの会員34人がICSに対して公式提案を行うことに賛成票を投じた。 2019年4月、AWGは2016年会合で開始されたプロセスを継続するために、ICSへの正式な提案を票決すると発表した。2019年5月21日、AWGの識者34人のうち29人の会員が2021年までに公式提案がなされることに賛成票を投じた。またAWGは20世紀半ばを開始日とする支持にも29票を投じた。国際標準模式層断面及び地点(GSSP)の候補地が10ヵ所認定されており、うち1ヵ所が最終提案に含まれるよう選択される予定である。可能性があるマーカーには、マイクロプラスチック、重金属、熱核兵器の試験によって残った放射性原子核などがある。
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