用語の注意
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/18 16:14 UTC 版)
英語の「cell adhesion molecule:CAM」は、英語圏では混乱しやすい。1976年、米国・ロックフェラー大学のGM・エデルマンが、ニワトリの神経網膜の「細胞‐細胞接着」を担うタンパク質を発見し、細胞接着分子、英語で「Cell Adhesion Molecule」にちなみ、CAMと命名した。つまり、「CAM」は「cell adhesion molecule(s)」(細胞接着分子)の略称で、普通名詞や集合名詞だったが、上記の時点で、特定の分子を示す固有名詞としても使われるようになった。その後、固有名詞の「CAM」は神経由来(neural)にちなみ、「NCAM」と改名されたが、依然として、固有名詞か普通名詞(や集合名詞)の「CAM」なのか混乱する場合がある。ただし、日本語では、「細胞接着分子」は集合名詞で、混乱していない。 同じ混乱をもたす用語に、ICAMとネクチンがある。ICAMは、英語のInterCellular Adhesion Moleculesの略で、日本語では「細胞間接着分子」という意味になる。ネクチンは、英語でnectinsで、日本語で「細胞接着タンパク質」という意味である。これらは本来、普通名詞や集合名詞のはずだが、現在は、特定の細胞接着分子を示す固有名詞である。なお、ICAMは日本語での混乱はないが、「ネクチン」は日本語の混乱をもたらす。ネクチンの英語名nectinsは、1999年、在日日本人が命名した。 多細胞生物の細胞接着の大枠は、細胞結合(anchoring junction)である。その大枠の下に固定結合、連絡結合、閉鎖結合の3種類の中枠がある。中枠の1つ・固定結合の下に、接着結合、接着斑(デスモソーム)、半接着斑(ヘミデスモソーム)の3小枠がある。 細胞接着分子は、小枠・接着結合から由来した用語である。現在もその由来を引きずっている。しかし、下記の「細胞接着分子と細胞結合」の節で述べるが、細胞「接着」分子と書いても、「接着」だけでなく大枠の概念である「細胞結合」を含めるのが通例である。細胞のすべての「接着」・「結合」に対して細胞接着分子という用語を使う。これは日本だけでなく英語圏でも同じである。細胞「結合」分子という専門用語は日本でも英語圏でもあまり使われていない。
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