生物生成メタン
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 08:46 UTC 版)
「メタンハイドレート」の記事における「生物生成メタン」の解説
メタンハイドレートは大陸周辺の海底に分布しており、大陸から遠く離れた海洋の深部に有意な発見はない。それら分布領域における表層堆積物の特徴は、長い運搬過程を経た粒度の小さい砕屑物や鉱物粒子、火山灰などの他に有機物や有孔虫などの生物遺骸が含まれる海底泥質堆積物である。その海底面(表層)では生物活動による土壌が作られ、土壌の上に新たな堆積物が積み重なり海水の比率が減少するとともに堆積物の続成作用が働く環境となる。堆積作用により表層から埋没後しばらくは硫酸還元菌(例えば Archaeoglobus、Desulforudis など)の活動が続き、この活動している地層を硫酸還元帯という。活動時間が長い深部になるほど炭素同位体比(12C : 13C)は大きい値を示す。硫酸塩の枯渇などにより硫酸還元菌の活動が終わると、メタン菌の活動が活発になり、メタンと炭酸水素イオンが生成される。ここでは地層深部の圧密作用を受けメタンや炭酸水素イオンを含む水が上層へ移動し、一定の条件下で水分子のかご構造にメタンが入り込みメタンハイドレートとして蓄積される。このメタン醗酵が発生する層では 13C が炭酸水素イオンに濃縮されるため、メタンの炭素同位体比は軽く(13C が少なく)なる。例えば、地球深部探査船「ちきゅう」が南海トラフ海域で採集したボーリングコア・サンプルの分析では、メタン生成菌由来であるとされている。
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