生物学におけるネットワーク
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/13 05:35 UTC 版)
「システム生物学」の記事における「生物学におけるネットワーク」の解説
具体的に分子生物学におけるシステムとは、狭義には細胞内コンポーネントのネットワーク(遺伝情報、シグナル伝達、代謝等からなる)である。その非常に複雑なネットワークの解明は、システム生物学の一つの目標である。タンパク質間相互作用(Protein-Protein Interaction)によって形成されたネットワークもその一例だが、酵母(Saccharomyces cerevisiae)のような比較的単純なモデル生物においても、非常に多数のタンパク質が複雑に影響を及ぼしあうことが知られている。このような研究には、可視化やデータマイニングが重要な役割を果たす。 一例を挙げると、ある種のインタラクトームネットワークから、別の種で発見された既知の局所構造(サブネットワーク)を探し出す、という分野がある。これは、ある局所構造が別の種の中にも発見された場合、それは類似の機能を持つ可能性が高いためである。つまり、現在では成熟したテクノロジーとなったシーケンス比較の考え方を一歩進め、サブネットワークをクエリとしてインタラクトームデータベースに入力し、そこから類似のサブネットワークを出力として得る、というものである。しかしながら、どのサブネットワークが類似性が高いか、というものを数値として評価する場合、ネットワークを構成するタンパク質のシーケンス(アミノ酸配列)の類似性、トポロジーの類似性、既知の機能の類似性(具体的には、遺伝子オントロジーによる各タンパク質のアノテーション等)など、可能な評価方法が多岐にわたるため、様々な点でまだ困難も多い。こういった、タンパク質や遺伝子のネットワークに主眼を置き研究してゆく分野を、ネットワーク生物学 (Network Biology) と呼ぶこともある。
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