玉串料公費支出訴訟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 15:42 UTC 版)
住民訴訟として争われた訴訟類型のものである。 岩手県靖国神社訴訟 詳細は「岩手県靖国神社訴訟」を参照 1979年(昭和54年)12月19日、岩手県議会が国に靖国神社公式参拝を実現するよう意見書を採択し、政府に陳情書を届けたことと、1962年(昭和37年)から靖国神社の要請で玉串料や献灯料を支出していたことは、政教分離原則に反するとして、その費用を返還するよう住民らが提訴した。1987年(昭和62年)3月5日、盛岡地方裁判所は合憲判決を示し、住民らの訴えを全面的に退けた。1991年(平成3年)1月10日、仙台高裁(糟谷忠男裁判長)は、判決主文にて住民側の控訴に対して被告の岩手県への公費返還請求を棄却したが、公式参拝・玉串料公費支出は違憲であるという傍論を示した。 勝訴したが違憲とされた県は、違憲とする傍論が示されたのは不利益で、最高裁で判断を仰ぐ必要があるとして上告した。仙台高裁は不適法として却下した。県は高裁の決定を不服として特別抗告したが、最高裁第2小法廷は「抗告の理由がない」として棄却した。 愛媛県の玉串料訴訟 詳細は「愛媛県靖国神社玉串料訴訟」を参照 愛媛県知事が靖国神社に対し玉串料を「戦没者の遺族の援護行政ために」毎年支出した事に対し、政教分離原則に反するとして、その費用を返還するよう住民らが求めた。1審の松山地方裁判所は違憲判決、2審の高松高等裁判所は「公金支出は社会的儀礼の範囲に収まる小額であり、遺族援護行政の一環であり宗教的活動に当たらない」として合憲判決を示した。しかし、1997年(平成9年)最高裁判所は政教分離原則の一つとなった目的効果基準により違憲判決を出し、確定した。
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