狐と森
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/24 14:24 UTC 版)
ウィリアムとスーザンの夫婦は1928年にやって来ていた。真っ白なスーツを着た男が彼らを尾行していた。2人は不安になった。2人が生まれたのは2155年だった。未来の世界では恐ろしい核戦争が勃発していた。2人は戦争から逃れるためにタイム・トラベル株式会社に頼んで1938年のニューヨークに行ったのだった。今、2人はメキシコにいる。白い服の男は捜査課の人間に違いなかった。リキュールやタバコを大量に買い込むのは未来から来た人間である証拠だった。男は話しかけてきた。腰をおろすとき、ズボンをたくし上げないのはおかしいと言った。ウィリアムは知らばっくれて歩き出した。シムズと名乗るその男は「2155年」と言った。ホテルに帰ると、電話が鳴った。相手は「ウサギが森に隠れてもキツネは必ず見つけ出すよ」と言った。あくる朝、町が騒がしかった。アメリカの映画会社がロケに来ていたのだ。2人は映画撮影を見物し、食堂でスタッフと同席した。監督のメルトンが話しかけてきた。そこへシムズが来て、2人を脅した。ウィリアムはもう隠すのをやめて、妻をここに残す代わりに自分だけ未来へ帰ろうといった。シムズは承知して、10分後に広場で会う約束をした。10分後、広場で待つシムズを、ウィリアムは自動車でひき殺した。取調べを受けたが、事故ということで解放された。ホテルに着くと、メルトンが話しかけてきた。一行はメルトンの部屋に上がって酒を飲んだ。メルトンは、スーザンを映画に使いたい、と言った。何の映画かと聞くと、2155年から逃亡してきた夫婦の物語だ、と答えた。スーザンが凍りついた。ウィリアムが拳銃を撃った。メルトンはウィリアムを組み伏せた。ホテルの支配人が部屋に入ったころには、既に誰もいなくなっていた。物置にはおびただしい数の酒とタバコが入っていた。
※この「狐と森」の解説は、「刺青の男 (小説)」の解説の一部です。
「狐と森」を含む「刺青の男 (小説)」の記事については、「刺青の男 (小説)」の概要を参照ください。
- 狐と森のページへのリンク