熱帯低気圧にまつわる概念
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 14:12 UTC 版)
「熱帯低気圧」の記事における「熱帯低気圧にまつわる概念」の解説
熱帯低気圧の位置を示す際には、地上・海上での気象観測や気象衛星の画像などから推定した、熱帯低気圧の中心の位置を熱帯低気圧の位置とし、熱帯低気圧の移動や速度なども中心の位置をもとに表される。 熱帯の海洋上で雲がまとまって渦を巻く兆候があり、気圧の低下が見られ、今後も発達する傾向があるような場合に「熱帯低気圧が発生した」とするが、そのタイミングは明確には規定されていない。ちなみに、台風の場合には最大風速による定義(次節参照)があるので、その風速に達したときに「台風が発生した」と表現する。 発生した熱帯低気圧は、まず貿易風帯の中を、北半球では北西、南半球では南西へ移動する。やがて偏西風帯に入ると、向きを変え(転向という)、北半球では北東、南半球では南東へ移動する。その明瞭な転向地点を転向点と呼ぶ。上空の気流のほかにも、気圧配置も台風の転向に強い影響を与える。たとえば、夏の主役である北太平洋高気圧の中には、どんなに勢力の強い台風であっても、割って入ることは不可能である。そのため、台風は北太平洋高気圧の縁を通らざるを得ない。この「縁」の部分も転向点になることがある。日本においては、晩夏から初秋にかけては、主に沖縄近海が転向点になりやすい。 熱帯低気圧が陸上に達することを上陸という。一般的に、大きな島や大陸に達したときに上陸といい、小規模な島を通った場合には、上陸ではなく通過という表現を用いる。日本の場合では、北海道、本州、四国、九州の四島では上陸と言うが、他の島嶼部では沖縄本島のような大きな島であっても上陸とは言わず、通過扱いになる。上記四島であれば、房総、三浦などの比較的小さな半島部を台風の中心が通ったとしても上陸扱いになる。 熱帯低気圧が温帯低気圧に変わることを、温帯低気圧化(温低化)あるいは消滅という。温帯低気圧にならずにそのまま勢力を弱め、消えた場合も消滅という。ただし、温低化した後で、再び中心気圧が低下することもある(つまり、温低化しても勢力が弱くなるとは限らない)ため、「台風は温帯低気圧に変わりました」という気象情報の理解には注意が必要である。
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