熱帯の高山に分布する高山植物と日本の高山植物との差異
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 08:48 UTC 版)
「日本の高山植物相」の記事における「熱帯の高山に分布する高山植物と日本の高山植物との差異」の解説
高山帯は世界各地に分布しており、それぞれの高山帯にはその環境に適応した高山植物が分布している。例えばアフリカのキリマンジャロ山やケニア山といった、標高5000メートルを越え氷河が見られる高山には、日本のものとは異なった高山植物が生育している。 アフリカやアンデスなどの高山帯では、昼間は10度以上にまで上昇した気温が夜間には0度以下に下がるという気温の日変化が大きく、しかも温帯にある日本とは異なり季節変化が小さいため、ほぼ毎日気温が0度を挟んで上下する現象が起こる。また積雪量や降水量も少なく、日本の高山ほど強い風が吹くことも少ない。そして熱帯の高山植物は標高が高い場所に分布するため、紫外線が強い環境に置かれる。そのためアフリカやアンデスの高地では、日中と夜間の温度差、少ない降水量、強い紫外線に適応した高山植物が分布するようになる。 アフリカの高山ではジャイアントセネシオやジャイアントロベリアといった大型の高山植物が見られ、アンデスでもキク科の大型の高山植物がある。これはまずアフリカやアンデスは日本の高山よりも雪が少なく、また風も弱いために大型の高山植物の生育が可能であると考えられている。またアフリカやアンデスの大型の高山植物の中には、1メートルから5メートルの幹の上に常緑性の大きな葉を広げた植物が見られる。これらの植物では葉は枯れてもすぐに落ちることなく植物体を覆い、断熱効果を生み出している。そして昼間は葉を広げ、夜になると葉を閉じることによって一日の大きな気温差から植物体を守っている。また強い紫外線と少ない降水量から守るために、クチクラ層が発達した多肉質の高山植物も多い。 巨大な高山植物はヒマラヤ山脈でも見られる。ヒマラヤでは植物体が綿毛のようなものに包まれた植物や、花茎が葉緑体が含まない半透明の葉に覆われた、ビニールハウスのような植物といった独自の進化を遂げた高山植物が見られる。このような高山植物が生まれた要因はまだ明らかになっていないが、植物の生長点の保温や、花茎内を保温して受粉のために昆虫類を誘引するためとの仮説が出されている。
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