火災の兆候
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/31 23:45 UTC 版)
「プロップエア420便墜落事故」の記事における「火災の兆候」の解説
左右の主翼にはそれぞれ2カ所に温度センサーが取り付けられており、これらの温度を基にオーバーヒートの警報が作動する仕組みだった。1つは吸気口付近の車輪格納部の上部に設置されており、もう1つは前縁部のオルタネーターワイヤーハーネスに取り付けられていた。前者の温度センサーで加熱が認められた場合、「R WINGOVHT」「L WINGOVHT」の警告灯が点灯し、後者では警告灯が点滅するよう設計されていた。チェックリストでは警告灯が点灯した場合はブリードエアのスイッチをオフにして、着陸装置を展開するよう指示されていたおり、3分以上警告灯が作動している場合には加熱の兆候がある主翼側のエンジンをシャットダウンするよう記載されていた。一方、警告灯が消えた場合に行うべき手順は記されておらず、注記に着陸装置を格納してブリードエアのスイッチをオフにした状態で飛行可能だと記載されていたのみだった。オーバーヒートの警報が作動した際のチェックリストやマニュアルにはタイヤが火災を起こしている可能性などについては触れていなかった。 パイロットは油圧系統の故障、飛行制御の問題、左エンジンでの火災に気づいていた。飛行中、「L WINGOVHT」の警告灯が点灯していたが、30秒ほどで自然に消えた。TSBは問題が解決したため警告灯が消えたのでは無く、火災によって電気系統のコードが焼き切れてしまったため警告灯が消灯したと推測した。パイロットがチェックリストを行ったという兆候は無く、ブリードエアスイッチはオンの状態で着陸装置は最終進入中に展開されるまで格納されたままだった。このことからパイロットがチェックリストを実行する前に警告灯が消えてしまったと推定された。警告灯が消灯した後、パイロットは飛行制御の悪化に直面した。調査から、激しい火災によって左主翼の剛性が低下し、主翼が異常に曲がり、補助翼の効果に影響を及ぼしたためだと判明した。火災が悪化するにつれて左主翼にかかる負荷も増し、最終的に左主翼が脱落した。翼桁(英語版)は火災によって溶けたり燃え尽きたりはしていなかったが、大きく損傷していた。
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