滝と生物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/17 23:23 UTC 版)
滝は最も激しい流れの渓流である。滝そのもので生活できる動物は、岩や石への吸着力に優れた吸盤を持つアミカの幼虫などに限られる。一方で滝壺のうち、落水が川底を長年抉って淵になった部分は魚が多く棲息する。水量が多く流れが緩やかであるうえ、水の深さと石や滝が起こす泡で身を隠しやすく、更に落下する昆虫などの餌を狙えるためである。滝下の淵は川釣りの好ポイントとされている。 落差や流速が大きく遡上が難しい滝は、魚類ごとの分布範囲を決める場合がある。特に源流へ近づく習性を持ち、泳いだり跳ねたりする力が強いイワナなどの渓流魚でも突破できない滝は、各地で「魚止め(魚留)の滝」と呼ばれる。魚の自然分布上は「魚止めの滝」であっても、その上流に魚が棲息できる水量や餌がある川では、地元住民や川漁師、釣り人、自然愛好家などが放流したイワナやヤマメなどが繁殖し、「魚止め」でなくなっている滝も多い。また豪雨などで川岸や川底が崩落して大きな滝ができ、魚が遡上できない滝が新たにできる場合もある。 このほか、ヘビのように体をくねらせて滝の裏や側壁を這い登るウナギ、腹部の吸盤で切り立った岩に密着しながら登れるボウズハゼやヨシノボリ類は、自力で滝より上流へ進出できる。 植生を見ると、滝は周囲の崖も「水の豊富な切り立った崖」という特殊な環境となり、例えばダイモンジソウなど独特の植物が生える。その他の滝周辺も多量の水滴が常時飛散するため、湿度の高い状態を好む植物に適した環境である。
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