測度論的エントロピー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/29 22:09 UTC 版)
「測度保存力学系」の記事における「測度論的エントロピー」の解説
分割 Q のエントロピーは次で定義される: H ( Q ) = − ∑ m = 1 k μ ( Q m ) log μ ( Q m ) . {\displaystyle H(Q)=-\sum _{m=1}^{k}\mu (Q_{m})\log \mu (Q_{m}).} すると、分割 Q = {Q1, ..., Qk} に関する力学系 ( X , B , T , μ ) {\displaystyle (X,{\mathcal {B}},T,\mu )} の測度論的エントロピーは、次で定義される: h μ ( T , Q ) = lim N → ∞ 1 N H ( ⋁ n = 0 N T − n Q ) . {\displaystyle h_{\mu }(T,Q)=\lim _{N\rightarrow \infty }{\frac {1}{N}}H\left(\bigvee _{n=0}^{N}T^{-n}Q\right).\,} 最後に、力学系 ( X , B , T , μ ) {\displaystyle (X,{\mathcal {B}},T,\mu )} のコルモゴロフ=シナイ(Kolmogorov-Sinai)あるいは計量(metric)あるいは測度論的エントロピー(measure-theoretic entropy)は、次で定義される: h μ ( T ) = sup Q h μ ( T , Q ) . {\displaystyle h_{\mu }(T)=\sup _{Q}h_{\mu }(T,Q).\,} ここで上限はすべての有限個の可測な分割について取られる。1959年のヤコフ・シナイの定理では、上限は実際には生成素であるような分割について得られることが示された。したがって例えば、ほとんど全ての実数は一意な二進展開を持つため、ベルヌーイ過程のエントロピーは log 2 である。すなわち、単位区間を区間 [0, 1/2) と [1/2, 1] に区分することが出来る。すべての実数 x は 1/2 より小さいかそうでないかのいずれかであるので、2nx の小数部分についても同様のことが成り立つ。 空間 X がコンパクトで位相を備えるものであるか、計量空間であるなら、位相的エントロピーも同様に定義することが出来る。
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