出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/14 16:22 UTC 版)
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位相的エントロピー(いそうてきエントロピー、英: topological entropy)とは、力学系の不変量であり、アドラー=クロンハイム=マカンドルーが1965年に導入した。[1]
開被覆による定義
アドラー=クロンハイム=マカンドルーによるコンパクト離散力学系に対する位相的エントロピーの定義を与える。
をコンパクト離散力学系とせよ。 すなわち、
はコンパクト位相空間であり、
は連続写像である。
まずは準備として、開被覆についての記号を導入する。
と
を
の開被覆とせよ。 このとき、
と
の共通細分
を
-
-
により定義する。 また、
-
-
も
の開被覆である。
さて、位相的エントロピーを定義しよう。
を
の開被覆とせよ。
の有限部分被覆の濃度の最小値を、
とする。 このとき、開被覆
のエントロピーを
-
-
により定義する。
また、極限
-
-
は常に存在する。 この極限値を開被覆
に関する連続写像
のエントロピーと呼び、
と表す。
このとき、コンパクト離散力学系
の位相的エントロピー
を
-
-
により定義する。 ただし、上限は開被覆の全体で考える。
参考文献
- ^ R.L. Adler, A.G. Konheim, M.H. McAndrew, Topological Entropy, Transactions of the American Mathematical Society 114 (1965) 309-319