深見けん二とは? わかりやすく解説

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深見けん二

深見けん二の俳句

おそく来て若者一人さくら鍋
かなかなや森は鋼のくらさ持ち
かまつかのゆるみそめたる紅の張り
きらめきて萍紅葉はじまりし
ちちははも神田の生れ神輿舁く
とまりたる蝶のくらりと風を受け
まつすぐに落花一片幹つたふ
まづ拝む窓の遠富士初稽古
ものの芽のほぐるる先の光りをり
ゆるむことなき秋晴の一日かな
ガラス戸に額を当てて短き日
一片の落花のあとの夕桜
二た昔とも昨日とも高虚子忌
人はみななにかにはげみ初桜
供養針にも夕影といへるもの
凍蝶のそのまま月の夜となりし
凍雲に一筋届く煙あり
吾子の口菠薐草のみどり染め
囀の一羽なれどもよくひびき
声揃へたる白鳥の同じかほ
夕月の光を加ふ松納
小春日の母の心に父住める
師の墓のうしろの石に涼みけり
日々勤め晩夏陸橋人に従き
日のさしてをりて秋めく庭の草
月を見てをりたる父の論すこと
枯菊を焚きて焰に花の色
椿寿忌やわが青春の稽古会
次の日となつてをりたる夜の蟬
母の忌の花火いくつも上りけり
氷柱垂れ同じ構への社宅訪ふ
浅野川ほとりの宿も注連の内
焼跡の天の広さよ仏生会
父の魂失せ芍薬の上に蟻
獺祭忌悪人虚子を敬ひて
玲瓏とわが町わたる冬至の日
盆の花かかへて歩く畳かな
石一つ堰きて綾なす秋の水
秋雨にすぐ潦八重の墓
芦の花ここにも沼の暮しあり
花の色白きを濃しといふべかり
花持てば花咲けば来る虚子忌かな
草に音立てゝ雨来る秋燕
薄氷の吹かれて端の重なれる
蜻蛉生る池塘の水の昏きより
行き違ふ手提の中の供養菊
覚めて又同じ枯野のハイウエイ
重なりて花にも色の濃きところ
離愁とは敦公が今鳴いてゐる
雨かしら雪かしらなど桜餅
 

深見けん二

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/13 09:17 UTC 版)

深見 けん二(ふかみ けんじ、1922年3月5日 - 2021年9月15日[1])は、福島県出身の俳人。本名は謙二。

来歴

高玉鉱山(現・郡山市)に生まれる。父の転勤で東京に移り、府立第五中学校を経て東京帝国大学工学部冶金科を卒業。卒業後は東大冶金科研究室勤務を経て日本鉱業入社。日興エンジニアリング勤務。

高校時代の1941年より高浜虚子に師事、20歳の頃に深川正一郎の指導を受ける。大学卒業後「ホトトギス新人会」を結成。1952年より山口青邨にも師事し、1953年に青邨の「夏草」同人。1959年に「ホトトギス」同人。1989年、「珊」創刊同人。1991年、「Fの会」を土台として「花鳥来」を創刊、主宰。

1992年、句集『花鳥来』で第31回俳人協会賞を受賞[2][3][4]

2006年、句集『日月』で第21回詩歌文学館賞俳句部門を受賞[2][4]

2014年、句集『菫濃く』で第48回蛇笏賞[2][3]および第13回山本健吉賞を受賞[4]

代表的な句に「薄氷の吹かれて端の重なれる」など。19歳より虚子に直接学んだ花鳥諷詠客観写生の実践と普及に努めた。俳人協会名誉会員、日本文藝家協会会員、楊名時太極拳師範。

2021年9月15日誤嚥性肺炎のため死去[2][3]。99歳没。

著書

句集

  • 『父子唱和』 近藤書店、1956年
  • 『雪の花』 玉藻社、1977年
  • 『星辰』 東京美術、1982年
  • 『花鳥来』 角川書店、1991年
  • 『余光』
  • 『日月』 ふらんす堂、2005年
  • 『蝶に会ふ』 ふらんす堂、2009年
  • 『菫濃く』 ふらんす堂、2013年
  • 『水影』 ふらんす堂、2006年
  • 『深見けん二俳句集成』 ふらんす堂、2016年
  • 『夕茜』 ふらんす堂、2018年
  • 『もみの木』 ふらんす堂、2021年

俳書

  • 『虚子の天地』 蝸牛社、1996年
  • 『虚子『五百句』入門』 蝸牛新社、2003年
  • 『四季を詠む』 日本放送協会出版、2003年
  • 『吟行入門 私の武蔵野探勝』 小島ゆかりとの共著、日本放送協会出版、2003年
  • 『折にふれて』 ふらんす堂、2007年
  • 『選は創作なり―高浜虚子を読み解く』 NHK出版、2011年

脚注

  1. ^ ふらんす堂によるTwitterへの投稿(2021年9月17日)
  2. ^ a b c d “俳人の深見けん二氏死去”. 時事通信社. (2021年9月17日). https://web.archive.org/web/20210917163255/https://www.jiji.com/jc/article?k=2021091700913 2021年9月18日閲覧。 
  3. ^ a b c “深見けん二氏が死去 俳人”. 日本経済新聞. 共同通信社. (2021年9月17日). https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE17ADN0X10C21A9000000/ 2021年9月18日閲覧。 
  4. ^ a b c 深見けん二」『デジタル版 日本人名大辞典+Plus』https://kotobank.jp/word/%E6%B7%B1%E8%A6%8B%E3%81%91%E3%82%93%E4%BA%8Cコトバンクより2021年9月18日閲覧 

参考文献

  • 稲畑汀子編 『ホトトギスの俳人101』 新書館、2010年、72-73頁
  • 稲畑汀子、大岡信鷹羽狩行監修 『現代俳句大事典』 三省堂、2005年、484-485頁

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