浄土真宗の影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 21:51 UTC 版)
一茶は浄土真宗の熱心な信者であり、一茶の俳句には浄土真宗の教えが大きな影響を与えていると考えられている。一茶の庵号である「俳諧寺」は、俳諧と浄土真宗の教えの両立を示していると見られている。浄土真宗の教えの中で、一茶の俳句に最も大きな影響を与えたのは「自然法爾」の思想である。「自然法爾」は浄土真宗の根幹をなす思想のひとつで、あるがままをそのまま受け入れる生き方、思想である。一茶の俳諧には、仕組まれ、図られたものよりもあるがままを、技巧よりも自然を良しとし、そして無為を重んじる姿勢が見られるが。これは「自然法爾」の教えの影響が大きいと考えられる。 また一茶を師匠とした一茶社中の運営方式も、浄土真宗の教えが大きく影響していた。一茶は当時の俗化著しい俳壇にある意味殴り込みをかけるような句作を行っていたが、反面、俳諧の大衆化に代表される庶民文化の隆盛が大きな意味を持っていることも理解していた。庶民の文化である俳諧に余計な権威付けは不要である。一茶は浄土真宗の教えにある、師も弟子も真理を追求する同志であるという、「御同朋」、「御同行」といった考え方に基づき、上下関係を否定して自由闊達な雰囲気で社中を運営していた。 浄土真宗の熱心な信者であった一茶ではあるが、僧侶の堕落した姿には手厳しい批判を加えた句を詠んでいる。また最晩年の句である 花の影寝まじ未来が恐ろしき から、未来(あの世)が恐ろしきとは、一茶は浄土真宗に対する深い信仰にもかかわらず、阿弥陀如来の姿を見て極楽往生を確信することは叶わなかったことを意味するのではとの意見もあるが、一方、一茶は浄土真宗の教えを会得しており、この句は過去、現世そして未来に至るまで自力を否定することを唱えたものであるとの説もある。
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